アルファベットは簡単に覚えられる!
ケッペンの気候区分で1番最初につまずく点は、アルファベットが覚えられないことだと思います。この章では、アルファベットを由来とともに紹介します。
ケッペンの気候区分は、1文字目は、赤道から極に向かってA, B, C…となり、2文字目はドイツ語の頭文字に由来します。3文字目はaとbのみで温度で区別されます。では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
1文字目は赤道から順にA、B、C…
タイトルの通り、1文字目は赤道から極に向かって順にA、B、C…と続きます。
ケッペンの気候区分の1文字目のアルファベットは、気温が高い赤道から、気温の低い北極・南極に向けてA, B, C, D, Eと順番に並べただけです。1文字目はすべて大文字であることに注意してください。
→気圧帯の位置と降水、風への影響とは
2文字目は語源を知ろう
ケッペンの気候区分の2文字目のアルファベットは、ドイツ語の頭文字に由来します。小文字と大文字についてそれぞれ見ていきましょう。
小文字は降水パターンを表す
小文字は以下の表のように降水パターンを表します。
2番目の小文字 | 語源 | 意味 |
---|---|---|
f | feucht | 湿潤な |
s | Sommer trocken | 夏季乾燥 |
w | Winter trocken | 冬季乾燥 |
m | Mittelformまたはmonsoon | 中間・モンスーン |
覚え方としては、
・f型…湿潤つまり雨が降る(furu)
・s型…summerに雨降らない
・w型…winterに雨降らない
・m型…s型とw型の真ん中(mannaka)
と語呂合わせできます。
大文字は、乾燥帯と寒帯のときだけ
大文字が使われるのは乾燥帯と砂漠帯の時だけです。
乾燥帯
2番目の大文字 | 語源(意味) | 気候区分 |
---|---|---|
S | Steppen(ステップ) | BS(ステップ気候) |
W | Wüsten | BW(砂漠気候) |
覚え方としては、
・S…ステップ(Steppen)
・W…Wなのに草生えない(砂漠)
と語呂合わせできます。
寒帯
2番目の大文字 | 語源(意味) | 気候区分 |
---|---|---|
T | Tundren(ツンドラ) | ET(ツンドラ気候) |
F | Forstes(永久凍土) | EF(氷雪気候) |
覚え方としては、
・T…ツンドラ(Tundren)
・F…ツンドラじゃないほう
とすると、覚えやすいと思います。Fが氷雪気候なのは、英語でも固まる・凍ることをfreeze(フリーズ)するといったりするので、関連付けられると思います。
3文字目は細分化
高校地理で3文字目があるのは温帯だけです。最暖月平均気温(1年で最も温かい月の平均気温)によって以下の表のように分類されます。
3文字目 | 最暖月平均気温 | 気候区分 |
---|---|---|
a | 22℃以上 | Cfa(温暖湿潤気候) |
b | 22℃未満 | Cfb(西岸海洋性気候) |
a, bの文字自体に意味はなく、単純に最暖月平均気温が高いほうからアルファベット順に名付けただけです。詳しい判別は次の章で説明します。
判別はステップを踏めば簡単!
ケッペンの気候区分の判別はややこしくて難しいですよね。でも、難しい問題は、細かく分割して1つずつ片付けると、意外と簡単に解けるものです。ケッペンの気候区分も8ステップに分割して、1つずつ見ていきます。
ステップ1:樹林があるか
下の図の黄色い部分を見てください。
まず世界の気候を、樹林があるかないかで2つに分けます。これでステップ1は終わりです。
樹林の有無 | 気候帯 |
---|---|
樹林がある | A(熱帯)、C(温帯)、D(冷帯) |
樹林がない | E(寒帯)、B(乾燥帯) |
ステップ2:樹林がない原因は低温?or乾燥?
次に樹林がみられない理由によって、2つに分けます。下の図の黄色い部分を見てください。
寒さが原因で樹林がないのが寒帯、乾燥が原因で樹林がないのが乾燥帯です。
ステップ3:E気候(寒帯)を分けよう
復習をすると、寒さが原因で樹林がみられないのが寒帯でした。ここでは、寒帯をさらに細分化します。下の図の黄色い部分を見てください。
寒帯は、最暖月平均気温(=1年で最も温かい月の平均気温)によって、2つに分けます。
最暖月平均気温 | 気候区 | 特徴 |
---|---|---|
0℃以上 | ET(ツンドラ気候) | コケ植物や地衣類が見られる |
0℃未満 | EF(氷雪気候) | 年中雪と氷に閉ざされている |
ステップ4:B気候(乾燥帯)を分けよう
復習をすると、乾燥帯は、乾燥しすぎているため樹林がみられない気候帯でした。ここでは、乾燥帯をさらに細分化します。下の図の黄色い部分を見てください。
乾燥帯は、年間降水量によって、以下の二つに分けることができます。
年間降水量 | 気候区分 | 特徴 |
---|---|---|
250㎜以上500㎜以下 | BS(ステップ気候) | 草が少し見られる |
250㎜以下 | BW(砂漠気候) | 草がほとんど見られない |
厳密には、上記の図の*3のように乾燥限界の計算が必要ですが、高校地理でここまで詳しく問われることは、はとんどありません。よって、年間降水量250㎜を目安として分類して大丈夫でしょう。
ステップ5:A、C、Dの判別は気温に注目
ここからは、樹林がある気候について分類していきます。下の図の黄色い部分を見てください。
樹林のある気候は、最寒月平均気温(=1年で最も寒い月の平均気温)によって以下の3つに分けられます。
最寒月平均気温 | 気候帯 |
---|---|
18℃以上 | A(熱帯) |
-3℃以上18℃未満 | C(温帯) |
-3℃未満 | D(冷帯) |
ここで、注意するポイントは、冷帯の最暖月平均気温は10℃以上でなければならないことです。10度以下だと寒帯の定義に当てはまってしまうためです。
ステップ6:A(熱帯)の判別をしよう
ここからは降水量に注目します。下の図の黄色い部分を見てください。
熱帯は降水のパターンによって、3つの気候区分に分類されます。
降水パターン | 気候区分 |
---|---|
年中降水 | Af(熱帯雨林気候) |
弱い乾季がある | Am(熱帯モンスーン気候) |
強い乾季がある | Aw(サバナ気候) |
厳密には、下のグラフのように、年降水量と最小雨月降水量で判別しますが、ここまで覚える必要はないでしょう。
ステップ7:C(温帯)の判別をしよう
下の図の黄色い部分を見てください。
温帯も、降水パターンによって次のように分類できます。
・s型…(夏の最少雨月降水量)×3≦(冬の最多雨月降水量)→夏季乾燥
・w型…(冬の最少雨月降水量)×10≦(夏の最多雨月降水量)→冬季乾燥
・f型…その他→年中湿潤
降水パターン | 気候区分 |
---|---|
s型(夏季乾燥) | Cs(地中海性気候) |
w型(冬季乾燥) | Cw(温暖冬期少雨気候) |
f型(年中湿潤) | →さらに分類 |
さらに、f型は最暖月平均気温によって、次の2つに分類できます。
最暖月平均気温 | 気候区分 |
22℃以上 | Cfa(温暖湿潤気候) |
22℃未満 | Cfb(西岸海洋性気候) |
ステップ8:冷帯(D)の判別をしよう
いよいよ最後のステップです。下の図の黄色い部分を見てください。
温帯と同じように、冷帯も降水パターンによって以下の2つに分類できます。
・s型…(夏の最少雨月降水量)×3≦(冬の最多雨月降水量)→夏季乾燥
・w型…(冬の最少雨月降水量)×10≦(夏の最多雨月降水量)→冬季乾燥
・f型…その他→年中湿潤
降水パターン | 気候区分 |
---|---|
w型(冬季乾燥) | Df(冷帯(亜寒帯)湿潤気候) |
f型(年中湿潤) | Dw(冷帯(亜寒帯)冬季少雨気候) |
以上で、すべてのケッペンの気候区分の判別をすることができました。分割して1つずつ見ていくことで、理解がより深まったはずです。
各気候区分の分布と特徴(植生・雨温図・土壌)とは?
続いて、各気候区分について、分布と特徴を紹介します。
熱帯
気候区 | 特徴 | 植生/土壌 | 人間の生活 |
---|---|---|---|
Af(熱帯雨林気候) | 年中多雨 | 熱帯雨林/ラトソル | 焼き畑農業やプランテーション農業 |
Am(熱帯モンスーン気候) | 冬に弱い乾季がある | 広葉樹林/ラトソルと赤色土 | アジアでは稲作 |
Aw(サバナ気候) | 強い寒気がある | 疎林と長草草原/ラトソル | プランテーション農業 |
乾燥帯
気候区 | 特徴 | 植生/土壌 | 人間の生活 |
---|---|---|---|
BW(砂漠気候) | 降水がほとんどない | 植生はほとんどない/砂漠土 | 灌漑農業 |
BS(ステップ気候) | 短い雨季がある | 短草草原(ステップ)/栗色土、黒土 | 遊牧 |
温帯
気候区 | 特徴 | 植生・土壌 | 人間の生活 |
---|---|---|---|
Cs(地中海性気候) | 夏季乾燥 | 硬葉樹林/地中海ではテラロッサ | 夏にオリーブ、冬に小麦の栽培 |
Cw(温暖冬期少雨気候) | 冬季乾燥温暖 | 照葉樹林/赤色土~黄色土 | 穀物の生産 |
Cfa(温暖湿潤気候) | 年較差が大きい | 常緑広葉樹~落葉広葉樹/褐色森林土~黄色土 | 人口集中地域 |
Cfb(西岸海洋性気候) | 偏西風により気温・降水量が年中安定 | 落葉広葉樹~常緑針葉樹/褐色森林土~ポドゾル | 酪農、混合農業 |
冷帯(亜寒帯)
人間の生活 | 特徴 | 植生/土壌 | 人間の生活 |
---|---|---|---|
Dw(冷帯冬季少雨気候) | 北半球のみに分布 | タイガ/ポドゾル | 南部は酪農、北部は林業 |
Df(冷帯湿潤気候) | ユーラシア大陸北東部のみに分布 | タイガ/ポドゾル | 林業 |
寒帯
気候区 | 植生/土壌 | 人間の生活 |
---|---|---|
EF(氷雪気候) | 地衣類や蘚苔類/ツンドラ土 | 狩猟 |
ET(ツンドラ気候) | 永久凍土 | アネクメーネ(無住居地帯) |
まとめ
ケッペンの気候区分のアルファベットの覚え方
1文字目→赤道から順にA、B、C…
2文字目→ドイツ語の頭文字
2番目の小文字 | 語源 | 意味 |
f | feucht | 湿潤な |
s | Sommer trocken | 夏季乾燥 |
w | Winter trocken | 冬季乾燥 |
m | Mittelformまたはmonsoon | 中間・モンスーン |
2番目の大文字(乾燥帯) | 語源(意味) | 気候区分 |
S | Steppen(ステップ) | BS(ステップ気候) |
W | Wüsten | BW(砂漠気候) |
2番目の大文字(寒帯) | 語源(意味) | 気候区分 |
T | Tundren(ツンドラ) | ET(ツンドラ気候) |
F | Forstes(永久凍土) | EF(氷雪気候) |
3文字目→温帯だけ
3文字目 | 最暖月平均気温 | 気候区分 |
---|---|---|
a | 22℃以上 | Cfa(温暖湿潤気候) |
b | 22℃未満 | CFb(西岸海洋性気候) |
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