冷帯湿潤気候(Df)の分布や植生などの特徴を解説

気候

冷帯湿潤気候の条件と特徴

冷帯湿潤気候は亜寒帯湿潤気候とも呼ばれています。さっそくですが、冷帯湿潤気候(Df)の条件は次のようになります。

冷帯湿潤気候(Df)の条件

・最寒月平均気温が-3℃未満(Dの条件)
・最暖月平均気温が10℃以上(Dの条件)
・年中湿潤である(fの条件)

最暖月平均気温が10℃以上というのは植物がぎりぎり生長できる温度です。これより気温が低くなると植生がなくなり、寒帯になります。詳しい気候区の分類は「ケッペンの気候区分」の記事を参考にしてください。冷帯湿潤気候(Df)の気候条件をイメージしやすいように表すと、「冬は寒いが、夏になると暑くなり、年中降水がある」と言えます。そんな冷帯湿潤気候の地域には次のような特徴があります。

冷帯湿潤気候の特徴

・分布は北半球のみで北緯40度以北
・植生は混合林~タイガ
・土壌はポドゾル
・農業は混合農業・移牧・林業など

これらの特徴について1つずつ見ていきます。

冷帯湿潤気候の分布

冷帯湿潤気候の地域は、北半球のみです。なぜ南半球には分布しないのでしょうか?1つ目は、南半球に南緯40度以南にあまり大地がないこと、2つ目は、南緯40度以南は周りを海に囲まれていて海洋性気候のため、冬に気温が下がらないことなどがあげられます。北半球に話を戻します。冷帯湿潤気候は北半球の中でも北緯40度以北に分布しています。地図を見るとユーラシア大陸北東部は冷帯湿潤気候が分布していないことが分かります。

この理由は、この地域が冬にシベリア高気圧に覆われ少雨になり、冷帯冬季少雨気候(Dw)に分類されるからです。また、北緯40度以南であっても、標高が高い場所では冬の気温が低くなり冷帯湿潤気候に分類されます。

冷帯湿潤気候の植生と土壌

まずは、植生から。北部と南部で2つに分けられます。

場所植生
北部タイガ(常緑針葉樹)
南部針葉樹と落葉広葉樹の混合林

北部では、エゾマツなどに代表される常緑針葉樹が広がります。この地域では単一の植物からなる純林が広がっていて、暗いタイガと呼ばれています。一方、南部の比較的気温の高い地域では、針葉樹のほかに落葉広葉樹も見られます。

次に土壌です。冷帯湿潤気候の地域では、低温のため腐食が進まず、養分に乏しいポドゾルが見られます。土壌中の水分が下へ移動する際に溶けた鉄も一緒に移動するため、ポドゾルの表層は白色です。

冷帯湿潤気候の農業

農業も植生と同様に、北部と南部で異なる特徴を持ちます。

場所農業
北部林業・移牧
南部酪農・混合農業など

北部は気温が低く耕作に向かないため、林業や移牧が行われています。北部に広がるタイガは単一種の林なので、管理がしやすく林業に向いています。南部では、夏の気温が高い時期に、小麦・ライ麦・ジャガイモなどのなどの栽培や牛の肥育などが行われています。北米では、商業的穀物農業も盛んです。

冷帯湿潤気候の雨温図とハイサーグラフ

冷帯湿潤気候のハイサーグラフを見ると上下に細長いことが分かります。年中湿潤なために年間の降水量の変化が小さくためと、冬季に気温が下がる一方、夏季は暑くなることで、気温の年較差が大きくなるためです。

まとめ

まとめ

〇冷帯湿潤気候(Df)の条件
最寒月平均気温が-3℃未満(Dの条件)
最暖月平均気温が10℃以上(Dの条件)
年中湿潤である(fの条件)

〇分布
北半球のみで概ね北緯40度以北

〇植生と土壌
植生は
北部:タイガ
南部:針葉樹と落葉広葉樹の混合林
土壌は白色の痩せたポドゾル

〇農業
北部:林業・移牧
南部:酪農・混合農業など

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