ステップ気候(BS)の国・気候帯・植生などをわかりやすく簡単に解説

気候

ステップ気候(BS)の特徴

さっそくですが、ステップ気候の条件は次のようになります。

ステップ気候の条件

年降水量が約250㎜~500㎜
(乾燥限界をrとすると、年降水量がr/2以上r未満)

ステップ気候の厳密な定義は、乾燥限界という数値を計算して判別するのですが、テストに出題されることはほとんどないのでここでは省略します。乾燥限界については「乾燥限界の計算と意味」の記事で詳しく解説しています。乾燥限界の代わりに、「年降水量が約250㎜~500㎜」という大体の目安で判断することがほとんどです。さて、そんなステップ気候ですが、どのような特徴があるのでしょうか?

ステップ気候の特徴

・1年のうち3か月ほど短い雨季がある
・日較差・年較差が大きい
砂漠気候(BW)の周りに分布する
・土壌は栗色土黒色土
・植生は短草草原(ステップ)と低木
・農業は遊牧・放牧・小麦栽培

などの特徴があります。日較差・年較差が大きい理由は「日較差・年較差が大きい場所とは?」の記事で詳しく解説しています。では、これらの特徴について1つずつ見ていきます。

ステップ気候(BS)の雨温図とハイサーグラフ

ステップ気候は年降水量が約250㎜~500㎜であることが条件です。例外としてよく引用されるパキスタンのラホールという場所では年降水量が500㎜を越えますが、ステップ気候(BS)に分類されます。乾燥限界を用いた判別でBSになるからです。

雨温図を見ると、6月から9月にかけて短い雨季があることが分かります。それ以外の月ではほとんど降水せず、乾燥しています。

ステップ気候(BS)の分布

上記の図を見ると、ステップ気候(BS)は砂漠気候(BW)の周りに分布していることが分かります。砂漠気候は年中亜熱帯高圧帯に覆われ乾燥します。一方、砂漠気候の高緯度側のステップ気候(BS)では亜寒帯低圧帯の影響で短い雨季がみられ、砂漠気候の低緯度側では熱帯収束帯(赤道低圧帯)の影響で短い雨季がみられます。このためステップ気候(BS)は砂漠気候(BW)の周りに分布しているのです。気圧帯について詳しくは「気圧帯の位置と降水・風への影響とは」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。ステップ気候は各地域でそれぞれ特徴があるので、地域ごとに紹介します。

アフリカ大陸

サハラ砂漠南部のステップ気候の地域をサヘルと呼びます。この地域では、年に数か月だけ赤道低圧帯(熱帯収束帯)の影響を受けて降水がみられるため、ステップ気候に分類されます。マダガスカルは東から貿易風が吹き、島の中央に山脈があるので西側は乾燥した気候になります。アフリカ大陸では回帰線砂漠の周囲にステップ気候が分布しています。

北アメリカ大陸

北アメリカ大陸では、西経100度より東側は湿潤、西側は乾燥した気候になります。西経100度より西側のグレートプレーンズには草原が広がっています。

南アメリカ大陸

南アメリカ大陸でも砂漠気候(BW)の周囲にステップ気候(BS)が広がっています。アルゼンチンのパンパと呼ばれる地域では、アンデス山脈から吹き下ろす乾燥した偏西風の影響で乾燥し、草原が広がっています。

ステップ気候(BS)の植生・土壌

ステップ気候の植生は短草草原(ステップ)です。短草草原は雨季にだけ見られ、乾季になると枯れてしまいます。比較的降水量の多い場所では低木が見られます。

気候が似ているステップ気候とサバナ気候ですが、植生には大きな違いがあります。ステップ気候は短草草原であるのに対して、サバナ気候はより多雨なため長草草原が広がります。また、ステップ気候では低木なのに対し、サバナ気候はより大きな木であるバオバブやアカシアが見られ、疎林を形成します。

ステップ気候の土壌は降水量によって2つに分けられます。比較的降水量が少ない所では栗色土で、比較的降水量が多い所では黒色土です。

比較的降水量が多い所では、短草草原が広がりますが、その草が枯れて腐食して積もることによって肥沃な黒色土になります。黒色土は、ユーラシア大陸(特にウクライナ周辺)ではチェルノーゼムと呼ばれ、北アメリカ大陸ではプレーリー土と呼ばれます。

一方、比較的降水量が少ない所では腐食する植物の量が少ないため、養分に乏しい栗色土になります。

ステップ気候(BS)の農業

ステップ気候の農業は、降水量が比較的多い所と少ないところで2つの形態があります。

降水量土壌農業
比較的多い黒色土小麦栽培
比較的少ない栗色土遊牧(アジア・アフリカ)、大規模な放牧(北米・南米・豪州)

降水量が比較的多い黒色土が広がる地域では、肥沃な土壌を生かして小麦栽培がおこなわれています。特に、ウクライナや米カンザス州では小麦の栽培が盛んです。

降水量が比較的少ない地域は、養分に乏しい栗色土なので、アジア・アフリカでは羊や牛の遊牧が行われ、北米・南米・オーストラリアでは大規模な企業的牧畜業が盛んです。中には、センターピボット方式などの灌漑技術を利用して小麦の栽培をしている地域もあります。

まとめ

ステップ気候(BS)のまとめ

〇ステップ気候の条件
年降水量が約250㎜~500㎜
(乾燥限界をrとすると、年降水量がr/2以上r未満)

〇ステップ気候の特徴
・1年のうち3か月ほど短い雨季がある
・日較差・年較差が大きい
・砂漠気候(BW)の周りに分布する
・土壌は栗色土と黒色土(チェルノーゼム・プレーリー土)
・植生は短草草原(ステップ)と低木
・農業は遊牧・放牧・小麦栽培

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