温暖湿潤気候(Cfa)の植生や土壌、農業の特徴とは?~西岸海洋性気候との違い~

気候

温暖湿潤気候の特徴~西岸海洋性気候との違い~

さっそくですが、温暖湿潤気候の条件は次のようになります。

温暖湿潤気候(Cfa)の条件

・最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
・最暖月平均気温が22℃以上(aの条件)
・年中降水がある(降水のパターンがs型でもw型でもない)(fの条件)

降水の型は「ケッペンの気候区分」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。本州以南の日本も温暖湿潤気候ですので、私たちにとってなじみのある気候です。そんな温暖湿潤気候の条件をまとめると、「夏に蒸し暑くなり、年中降水がある」といえそうです。西岸海洋性気候との違いは上の図の通り最暖月平均気温が22℃以上になることです。22℃未満だと西岸海洋性気候に分類されます。温暖湿潤気候にはどのような特徴があるのでしょうか?

温暖湿潤気候の特徴

・分布は回帰線~緯度40度付近の大陸東岸
・気温の年較差が大きく、四季が明瞭
・土壌は褐色森林土
・植生は常緑広葉樹~針葉樹
・農業はアジアでは、北米では小麦

などの特徴があります。これらの特徴について1つずつ見ていきます。

温暖湿潤気候の分布

北海道と東北の一部を除く日本も温暖湿潤気候に属していることが確認できます。一見複雑に見える分布ですが、主に、回帰線~緯度40度付近の大陸東岸に分布しています。東アジア・南北アメリカ東部・オーストラリア東部などです。北アメリカでは西経100度より東側がこれに属します。なぜ大陸の西岸には分布しにくいのかというと、回帰線~緯度40度付近の大陸西岸は偏西風が吹くためです。偏西風が吹くと、気温の変化が小さくなり夏の気温が22℃以上にならず、西岸海洋性気候(Cfb)に分類されるためです。例外として、イタリア北東部や黒海沿岸にも分布します。

温暖湿潤気候の植生・土壌

植生は場所によって大きく3つに分けられます。

場所植生
低緯度側常緑広葉樹
高緯度側落葉広葉樹と針葉樹の混合林
少雨地域草丈の長い温帯草原

少雨で温帯草原が見られる地域には、それぞれの呼称があります。

温帯草原の呼称

北アメリカ:プレーリー
アルゼンチン:湿潤パンパ
ハンガリー:プスタ

温暖湿潤気候の土壌は褐色森林土です。また、比較的少雨地域では黒土が見られます。この黒土は、北アメリカの温帯草原地帯ではプレーリー土、南アメリカの温帯草原地帯ではパンパ土と呼ばれます。

温暖湿潤気候の農業

温暖湿潤気候の地域では、適度な気温と豊富な降水量があるため農業が盛んにおこなわれています。農業の特徴は地域によって異なります。

場所農業の特徴
東アジア稲作
北アメリカトウモロコシ・大豆・綿花
南アメリカ混合農業(小麦・トウモロコシ・牧畜)

温暖湿潤気候の地域では農業が盛んなため、人口が多くなっています。

温暖湿潤気候の雨温図とハイサーグラフ

温暖湿潤気候のハイサーグラフは上の図のように、右上がりになります。温暖湿潤気候の地域では年中降水がありますが、特に夏に降水量が多くなるためです。これらの地域の夏は、季節風の影響で多雨になるのに加え、梅雨前線熱帯低気圧などによっても多雨になります。強い熱帯低気圧は、発生した地域によって名称が異なります。北西太平洋付近で発生した強い熱帯低気圧は台風と呼ばれ、東アジアの温暖湿潤気候の地域の降水を増やします。大西洋北部などで発生した強い熱帯低気圧はハリケーンと呼ばれ、北アメリカの温暖湿潤気候の地域の降水を増やします。

まとめ

まとめ

〇温暖湿潤気候(Cfa)の条件
最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
最暖月平均気温が22℃以上(aの条件)
年中降水がある(降水のパターンがs型でもw型でもない)(fの条件)

〇分布は回帰線~緯度40度付近の大陸東岸

〇植生・土壌
低緯度側:常緑広葉樹
高緯度側:落葉広葉樹と針葉樹の混合林
少雨地域:草丈の長い温帯草原(プレーリー・湿潤パンパ・プスタ)
土壌は褐色森林土や黒土など

〇農業
東アジア:稲作
北アメリカ:トウモロコシ・大豆・綿花
南アメリカ:混合農業(小麦・トウモロコシ・牧畜)

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