【地理】降水条件&乾燥条件4つ!降水量が多い・少ない地域の特徴と条件は?

気候

地理の気候を勉強していると、降水量がその地域の植生や土壌に重要な役割を果たしていることが分かると思います。ところで、雨が降る条件とはどのようなものなのでしょうか?どのような条件で雨が降るのでしょうか?今回は降水条件・乾燥条件と多雨地域・少雨地域について解説していきます。なお、理科的な降水条件はなるべく省略しているのでご了承ください。

降水条件の4パターンとは?

雨は湿った空気が上昇する場所で降ります。

上昇気流の詳しい説明は以下の記事でしているのでよかったら参考にしてください。

降水条件、言い換えると、雨が降るパターンは主に次の4つに分類できます。

降水条件の主な4つのパターン
  • 対流性降雨
  • 収束性降雨
  • 地形性降雨
  • 前線性降雨

これだけではわかりませんね。後で詳しく解説します。

雨が降る場所では上昇気流が発生しているわけですが、この4パターンもすべて上昇気流が発生します。大気が上昇すると上空で冷まされ、飽和水蒸気量が小さくなり、空気に溶けきれなくなった水蒸気が水に状態変化することで雨が降ります。

飽和水蒸気量:空気にどれだけ水分を含むことができるかを表したもの

つまり、

飽和水蒸気量が大きい→空気中に水分を多く含むことができる

飽和水蒸気量が小さい→空気中に水分をあまり含むことができない

ということです。

それでは、降水条件の4パターンを詳しくみていきましょう。

降水条件①対流性降雨

1つ目は対流性降雨です。強い日差して地面が急速に温められると、その熱が大気に伝わり、暖められた大気は軽くなるため上昇します。この時、上昇気流が生じているので、雲を形成し、雨が降ります。

夕立スコールが対流性降雨にあたります。

降水条件②収束性降雨

2つ目は収束性降雨です。収束性降雨は低気圧性降雨とも呼ばれます。低気圧の中心に向かって周りの空気が吸い込まれる(収束する)ことで上昇気流が生じ、雨を降らせます。

台風サイクロンハリケーンなどがこれに該当します。また、赤道低圧帯では、この収束性降雨が頻繁にみられます。下の地図は、台風・サイクロン・ハリケーンが発生する地域と赤道低圧帯がある地域を示したものです。

台風、サイクロン、ハリケーンなどの熱帯低気圧は次の記事で詳しく説明しているのでよかったら参考にしてください。

降水条件③地形性降雨

3つ目は地形性降雨です。海上などを通った湿った風が山脈にぶつかることで上昇気流が生じます。これによって、雨が降ります。大気は山脈の風上側で水分を失うため、風下側では高温で乾燥した気候になります。

地形性降雨がみられる地域

・西ガーツ山脈風上側

・アッサム地方(ヒマラヤ山脈風上側)

・ランカシャー地方(ぺニン山脈風上側)

実際に地図で確認してみましょう。

西ガーツ山脈には夏の季節風が吹き付けます。西ガーツ山脈の季節風の風上側は多雨な地域として知られています。

アッサム地方も同様に、北にヒマラヤ山脈、南から夏の季節風が吹くため、多雨となります。

ランカシャー地方は偏西風が吹くとき、ぺニン山脈の風上側になるため、多雨になります。

地形性降雨の詳しい説明は以下の記事を参考にしてください。

リンク

降水条件④前線性降雨

4つ目は前線性降雨です。前線性降雨は、暖気と寒気がまじりあう場所で、暖気が寒気の上に乗り上げることで上昇気流が起き、雨を降らせるものです。暖気が前進しているものを温暖前線、寒気が前進しているものを寒冷前線と呼びます。

梅雨前線秋雨前線寒帯前線などがこれに該当します。

寒帯前線は次の記事で詳しく説明しているのでよかったら参考にしてください。

以上をまとめると、降水条件は対流性降雨、収束性降雨、地形性降雨、前線性降雨の4パターンに分けられます。

乾燥条件の4パターンとは?

降水条件は対流性降雨、収束性降雨、地形性降雨、前線性降雨の4パターンでした。では、降水がない、つまり砂漠になる条件は何でしょうか?砂漠になる条件も4つのパターンに分けれらます。

砂漠形成の4つのパターン
  • 回帰線砂漠
  • 雨陰砂漠
  • 乾燥砂漠
  • 海岸砂漠

これらの4つのパターンのうち、①回帰線砂漠と④海岸砂漠は下降気流が生じるため降水がみられないもので、②雨陰砂漠と③海岸砂漠は大気が乾燥しているために雨が降らないものです。

これら4つのパターンを詳しく紹介します。

乾燥条件①回帰線砂漠

1つ目の砂漠になるパターンは回帰線砂漠です。

回帰線砂漠ができる原因は亜熱帯高圧帯

回帰線砂漠とは、回帰線上の亜熱帯高圧帯の影響で下降気流が生じ、雲が形成できず砂漠になるというものです。

高気圧帯がなぜできるのか?亜熱帯高気圧とは何か?は次の記事で詳しく説明しているのでよかったら参考にしてください。

気圧帯の位置と降水、風への影響とは

回帰線砂漠の例

・サハラ砂漠

・ルブアルハリ砂漠(アラビア半島)

・グレートビクトリア砂漠(オーストラリア)

・カラハリ砂漠(アフリカ)

乾燥条件②雨陰砂漠

2番目のパターンは雨陰砂漠です。

雨陰砂漠ができる原因は山脈の風下側だから

山脈に風が当たると、山脈の風上側で上昇気流が発生するため、雨が降ります。ここで大気は水分を失います。その後山脈を超えた後の大気は水分を失っているため乾燥しています。この乾燥した大気が吹き付けるところのできるのが雨陰砂漠です。

雨陰砂漠の例

・パタゴニア(南米)

乾燥条件③内陸砂漠

3つ目のパターンは内陸砂漠です。

内陸砂漠ができる原因は隔海度が大きいから

隔海度:海からどれだけ離れているかを示す度合い

雲はたいてい海水が蒸発した水蒸気から成っています。すなわち、雲に水分を供給するのは海洋なのです。海沿いの陸地では、海水が蒸発してできた雲が供給されますが、隔海度が大きい内陸部までは雲が到達できません。すると、内陸部は乾燥します。このようにしてできるのが内陸砂漠です。

内陸砂漠の例

・タクラマカン砂漠

・ゴビ砂漠

乾燥条件④海岸砂漠

4つ目のパターンは海岸砂漠です。

海岸砂漠ができる原因は沖合に寒流が流れているから

沖合に寒流が流れている地域は、海の上空で寒流によって冷やされた冷気が陸に流れ込みます。すると、陸の上空の大気は、上に軽い暖気が、下に重い冷気が存在することになります。この時、軽い暖気が上にあるので、重い冷気は上昇することができません。よって上昇気流が起きず、乾燥します。こうしてできるのが海岸砂漠です。

海岸砂漠の例

・ナミブ砂漠(アフリカ)

・アタカマ砂漠(南米)

まとめ

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