【地理】ハイサーグラフ問題の解き方・見分け方とは?各気候区分の特徴を紹介!

気候

地理の勉強をしていると、ハイサーグラフというものに出会うと思います。ハイサーグラフは気候の特徴を知るうえで、とても重要なグラフです。今回は、ハイサーグラフの見方や、それぞれのケッペンの気候区分による特徴、ハイサーグラフ問題の解き方などを紹介していきます。

ハイサーグラフの読み取り方とは?

ハイサーグラフの読み取り方と、ハイサーグラフから分かることについて説明します。

下のハイサーグラフを見てください。

まず、始めに横軸と縦軸を確認します。ハイサーグラフでは一般に、横軸が月降水量(=1が月に降った雨の総量)、縦軸が、月平均気温(=1か月の気温の平均)となります。

次に、図中に示された数字(下の図の赤丸で囲った5)に注目します。この数字は1∼12まであり、それぞれが1月~12月までに対応しています。例えば、上の図のように、5月に注目すると、5月の黒丸から横軸に垂線を下すとその月の降水量が、縦軸に垂線を下すとその月の平均気温が分かります。今回の場合は、それぞれ130㎜と17℃と読み取れます。

さらに、上の図のように、グラフの概形から、気温と降水量の年較差を読み取ることができます。年較差とは、1年の気温・降水量の変化の度合いです。

ハイサーグラフの問題を解いてみよう

ハイサーグラフの問題の解き方を紹介します。

ハイサーグラフの解き方の鉄則

  1. 気候帯を判別してから
  2. 各気候区を見分ける

まずは気候帯の判別を、次に、各気候区の判別の仕方を説明します。

ケッペンの気候区分についての詳しい説明はこちら→ケッペンの気候区分の覚え方と判別方法

気候帯は3ステップで見分けられる!

下の5つのハイサーグラフを熱帯・乾燥帯・温帯・冷帯・寒帯の5つに分類していきます。

気候帯を見分けるフローチャートは次のようになります。

気候帯は

ステップ1:最暖月平均気温でE(寒帯)を判別する
ステップ2:降水量でB(乾燥帯)を判別する
ステップ3:最寒月平均気温でD(冷帯)・C(温帯)・A(熱帯)を判別する

のたった3ステップで見分けられます。

ステップ1:最暖月平均気温でE(寒帯)を判別する

上記の図のように、ハイサーグラフの月平均気温が10℃の所に線を引きます。ここで、E(寒帯)は最暖月平均気温が10℃未満、つまりすべての月が10℃未満であることより、④はE(寒帯)であることが分かります。

ステップ2:降水量でB(乾燥帯)を判別する

上の図のように、降水量が極端に少ないハイサーグラフはB(乾燥帯)と判別できます。

ステップ3:最寒月平均気温でD(冷帯)・C(温帯)・A(熱帯)を判別する

最後に最寒月平均気温で判別します。上の図のように、18℃と-3℃の所に線を引きます。ここで、各気候帯の定義より、

気候帯の定義

最寒月平均気温が
-3℃未満→冷帯
-3℃以上18℃未満→温帯
18℃以上→熱帯

より、①がC(温帯)、②がA(熱帯)、③がD(冷帯)と判別することができます。

このように、ハイサーグラフを用いた気候帯の判別はたったの3ステップでできます。でも、温暖湿潤気候や地中海性気候などの詳しい気候区の判別はこれではできませんね。安心してください。これから各気候帯の気候区分の詳しい見分け方について説明します。

熱帯を見分ける

判別の前に熱帯の復習をすると、熱帯は3つの気候区に分類できます。

熱帯の3つの気候区

年中湿潤→Af(熱帯雨林気候)
弱い乾季がある→Am(熱帯モンスーン気候)
強い乾季がある→Aw(サバナ気候)

熱帯は降水パターンによって判別できるのです。以上を踏まえたうえで、下の3つのハイサーグラフの判別を行います。

熱帯の気候区は降水パターンによって分類されているので、ハイサーグラフは横軸の降水量に注目します。

上の図のように、ハイサーフラフは、左に行くほど少雨、右に行くほど多雨を示します。ここで、①~③を比較すると、

①は、プロットが左側まで伸びていて強い乾季があることが分かります。

②のプロットは左側にはなく、乾季がないことが分かります。

③のプロットは、①と②の中間ほどで、弱い乾季があることが分かります。

よって、

①Aw(サバナ気候)

②Af(熱帯雨林気候)

③Am(熱帯モンスーン気候)

と判別できます。

これらの特徴をまとめると、次のようなハイサーグラフが描けます。

乾燥帯を見分ける

判別の前に、乾燥帯の復習をすると、乾燥帯は、年降水量によって、次の2つの気候区に分類できます。

乾燥帯の2つの気候区

年降水量が約250㎜以下→BW(砂漠気候)
年降水量が約250㎜以上500㎜以下→BS(ステップ気候)

この2つの気候区のハイサーグラフの特徴は、次のようになります。

BW(砂漠気候)→年中雨が降らない

BS(ステップ気候)→雨が降る月もある

これらの特徴を踏まえたうえで、下の2つのハイサーグラフの判別を行います。

乾燥帯も熱帯と同様、降水量によって2つの気候区に分類されるので、注目するのは横軸の降水量です。

ここで、①と②を比較すると、②はプロットが右側に伸びている、つまりそこそこ雨が降る月があることが分かります。よって、

①BW(砂漠気候)

②BS(ステップ気候)

と判別できます。

これらの特徴をまとめると、次のようなハイサーグラフが描けます。

温帯を見分ける

判別の前に、温帯の復習をすると、温帯は4つの気候区に分類できます。

温帯の4つの気候区

夏季乾燥→Cs(地中海性気候)
冬季乾燥→Cw(温暖冬期少雨気候)
年中湿潤&最暖月平均気温22℃以上→Cfa(温暖湿潤気候)
年中湿潤&最暖月平均気温22℃未満→Cfb(西岸海洋性気候)

温帯はまず、降水パターンでs型、w型、f型に分けた後、f型のみ最暖月平均気温でa, bの区別があるのです。これらの特徴を踏まえたうえで、下の4つのハイサーグラフの判別を行います。

温帯の判別は、s型→w型→f型の順で特定していきます。

まず、夏季乾燥のCs(地中海性気候)を特定します。夏季に乾燥するということは、気温が高い月に降水量が少なくなるということです。言い換えると、気温が高く上の方にプロットされる月ほど、降水が少ないため左に分布します。よってハイサーグラフは「左上がり型」になります。よって、③と判別できます。

次に、冬季乾燥のCw(温暖冬期少雨気候)を特定します。冬に乾燥するということは、気温が低い月ほど、降水量が少なくなります。言い換えると、下の方の点ほど、左に分布します。よってハイサーグラフは「左下がり型」になります。よって、④と判別できます。

さて、残った①と②がCfa(温暖湿潤気候)かCfb(西岸海洋性気候)になります。この2つの判別方法は、最暖月平均気温22℃以上か未満かです。①は22℃を超える月があるためCfa(温暖湿潤気候)、②は22℃を超える月がないためCfb(西岸海洋性気候)と判別できます。

これらの特徴をまとめると、次のようなハイサーグラフが描けます。

冷帯(亜寒帯)を見分ける

判別の前に、冷帯(亜寒帯)の復習をすると、冷帯(亜寒帯)は、2つの気候区に分類できます。

冷帯の2つの気候区

年中湿潤→Df(冷帯湿潤気候)
冬季乾燥→Dw(冷帯冬季少雨気候)

冷帯は降水パターンによって判別できるのです。これらの特徴を踏まえたうえで、下の2つのハイサーグラフの判別を行います。

冷帯は降水パターンで2つに分けられるので、ハイサーグラフの特徴は、

Df(冷帯湿潤気候)→乾燥している月がない

Dw(冷帯冬季少雨気候)→乾燥している月がある

となります。

ここで、②は乾燥している月がある(黄色部分にプロットがある)ので、Dw(冷帯冬季少雨気候)と判別できます。残った①がDw(冷帯冬季少雨気候)です。

これらの特徴をまとめると、次のようなハイサーグラフが描けます。

寒帯を見分ける

判別の前に、復習をすると、寒帯は2つの気候区に分類できます。

寒帯の2つの気候区

最暖月平均気温0℃以上→ET(ツンドラ気候)
最暖月平均気温0℃以下→EF(氷雪気候)

寒帯は、最暖月平均気温によって判別できるのです。

ですが、ハイサーグラフで寒帯の気候区を判別する問題は出ないでしょう。なぜなら一般にEF(氷雪気候)のハイサーグラフを作れないからです。EF(氷雪気候)は年中雪と氷に閉ざされているため、降水量を測定しようとしても、それが空から降ってきたものなのか、地上の雪が風で舞い上がったものなのか判断することができません。よって降水量が分からずハイサーグラフを描けないのです。

地図上の場所を見分ける

ハイサーグラフの問題には、月の数字が書いているものと書いてないものがあります。月の数字が書いているものは、ハイサーグラフから地図上の場所を判断するために用いられます。

具体的には、北半球と南半球では季節が逆になるので、

7月に最高気温→北半球

1月に最高気温→南半球

となります。

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