熱帯モンスーン気候(Am)の国や雨温図について [なぜ乾季がみられるのかも解説!]

気候

特徴を一言で表すと、「熱帯モンスーン気候のすべては季節風にあり!」です。この記事では熱帯モンスーン気候の特徴、分布、植生・土壌、農業、暮らしなどについてわかりやすく解説していきます。最後には熱帯モンスーン気候の分布の覚え方も紹介するので、ぜひ最後まで読んでいってください。

熱帯モンスーン気候の特徴~サバナ気候との違いとは~

早速ですが、熱帯モンスーン気候の定義から入ります。

熱帯モンスーン気候(Am)の定義

・最も寒い月の平均気温が18℃以上→Aの定義
・降水パターンが熱帯雨林気候とサバナ気候の中間(最小雨月降水量60㎜以下)→mの定義

熱帯モンスーン気候は最も寒い月の平均気温が18℃以上なければなりません。これは熱帯(A)の定義です。そして、熱帯モンスーン気候の降水パターンに関しては、「熱帯雨林気候とサバナ気候の中間」です。これはmの定義です。復習をすると、

熱帯雨林気候→年中多雨

サバナ気候→乾季がある

ですので、熱帯モンスーン気候は、「年中多雨」と「乾季」の中間の「弱い乾季がある」というのが定義です。弱い乾季?熱帯モンスーン気候って正確に区別できないの?と思った方もいるかもしれません。正確に区別したい場合は、次の図を用いますが、テストでここまで詳しく問われることはほとんどありません。

年降水量と、最小雨月降水量の違いから、熱帯雨林気候(Af)、熱帯モンスーン気候(Am)、サバナ気候(Aw)を分類できます。詳しい説明はこちら→ケッペンの気候区分の見分け方とは?

さて、熱帯モンスーン気候の特徴は、雨季・乾季があることです。雨季・乾季がある理由は、名前の通り、モンスーンによるものです。冬に陸側から乾いたモンスーンが吹くことによって、短い期間乾季があるのです。詳しい説明は後程紹介します。ちなみに、熱帯モンスーン気候は、降水パターンの特徴から、「弱い乾季のある熱帯雨林気候」という別名で呼ばれることもあります。

熱帯モンスーン気候の雨温図とハイサーグラフ

熱帯モンスーン気候の特徴を抑えたうえで、雨温図ハイサーグラフの確認をします。

最寒月平均気温が18℃以上と最小雨月降水量60㎜以下を満たしていて、1年のうち弱く短い乾季があることが分かります。

熱帯モンスーン気候はどこに分布する?

熱帯というだけあって、赤道付近に位置しそうだと予測できますね。地図を見てみましょう。

赤道からちょっと離れた狭い地域に分布することが分かります。詳しい分布は最後の章で紹介します。

熱帯モンスーン気候の都市と国の例は、スラバヤ(インドネシア)、ケアンズ(オーストラリア)、ヤンゴン(ミャンマー)、マンガロール(インド)、モンロビア(リベリア)、マカパ(ブラジル)、マイアミ(アメリカ)などです。

熱帯モンスーン気候の植生・土壌

まず植生について。熱帯モンスーン気候は熱帯雨林気候とサバナ気候の中間なので、植生もそれらの中間になります。具体的には、熱帯雨林気候に近く降水が多い地域では、熱帯雨林がみられます。サバナ気候に近く降水が少ない地域では、乾季の乾燥に耐えるために、落葉をする落葉広葉樹林(雨緑林)がみられます。

熱帯雨林 出典:pixabay

次に、土壌について。熱帯モンスーン気候の土壌はラトソルという赤い土や赤色土です。熱帯では、降水量が多く、土壌の養分は解けて流されてしまいますが、水に溶けにくい酸化鉄や酸化アルミニウムは地表に残ります。この酸化鉄や酸化アルミニウムが赤いため、ラトソルや赤色土は赤色をしているのです。

熱帯モンスーン気候の農業

熱帯モンスーン気候の農業のポイントはプランテーション農業稲作(アジアのみ)の2点です。

まず、プランテーション農業について。プランテーション農業とは、西洋の技術・資本と現地の労働力を組み合わせた農業で、嗜好品や工業原料などを単一耕作(モノカルチャー)する農業のことです。熱帯モンスーン地域で栽培されている作物としては、サトウキビ・バナナ・コーヒー・茶などです。詳しい説明はこちら→プランテーション農業とは?

次に稲作について。アジアの熱帯モンスーン気候の地域では稲作が盛んです。熱帯モンスーン気候は年中温かいので、夏だけでなく冬でも米を作ることができます。これらの地域では、1年に2回米を収穫する二期作がおこなわれています。

熱帯モンスーン気候の分布の覚え方とは?

先ほどの熱帯モンスーン気候の分布の地図なのですが、どこが何気候なのか覚えるのに苦労しますよね。そこで、熱帯モンスーン気候がなぜこれらの地域に分布するのかその理由を考えます。理解を伴った記憶にすることで簡単に分布を覚えられるようになるでしょう。

(※気候の分布は複雑な現象が合わさっているため1つの事象ですべてを説明できるわけではありません。紹介する説明は暗記のため考え方です。)

では、それぞれの地域ごとに見ていきます。

アジア

まずはアジアから。赤色の部分が熱帯モンスーン気候の地域です。モンスーンが吹き付ける地域に位置することが分かりますね。大陸の沿岸では、夏には海側から湿ったモンスーンが、冬には陸側から乾いたモンスーンが吹き付けます。ここで、冬に乾いたモンスーンが吹き付けると、降水量が少なくなります。これが熱帯モンスーン気候の弱い乾季の正体です。熱帯モンスーン気候の位置はモンスーンが吹く大陸沿岸とほとんど一致します。例外として、スラバヤやケアンズは、本当ならもっと雨が少ないサバナ気候になるはずですが、周りを海に囲まれているため降水量が多く、熱帯モンスーン気候になります。

アフリカ

アフリカもアジアと同様です。アフリカ西海岸では、夏には海側から湿ったモンスーンが、冬には陸側から乾いたモンスーンが吹きます。冬に乾いたモンスーンが吹くことによって短い乾季がみられ、熱帯モンスーン気候となります。

南アメリカ

南アメリカはアジア・アフリカとは少し異なります。南アメリカは、湿った貿易風が地図上の赤色の地域で素通りしてしまうことで降水量が少なくなるのです。雨が降るための条件に「上昇気流が起こること」というのがあります。しかし、赤色の地域では高い山脈がなく、上昇気流が起こりにくいので、熱帯雨林気候より降水が少なくなり、熱帯モンスーン気候になります。雨が降るための条件の詳しい説明はこちら→降水条件・乾燥条件4つ!

これ以外の地域として、マイアミは、本当はもっと降水量が少ないサバナ気候になるはずですが、周りを海に囲まれていて降水量が多くなり、熱帯モンスーン気候に属します。

いかがでしょうか。このように、なぜそこが熱帯モンスーン気候になるかを考えることによって、分布の場所を覚えやすくなったと思います。

まとめ

熱帯モンスーン気候(Am)の定義

・最も寒い月の平均気温が18℃以上→Aの定義
・降水パターンが熱帯雨林気候とサバナ気候の中間(最小雨月降水量60㎜以下)→mの定義

熱帯モンスーン気候の植生・土壌

植生→熱帯雨林&雨緑林
土壌→ラトソル&赤色土

熱帯モンスーン気候の農業

プランテーション農業→サトウキビ・バナナ・コーヒー・茶を栽培
稲作→アジアだけ。二期作など

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