西岸海洋性気候の特徴
さっそくですが、西岸海洋性気候の条件は次のようになります。
・最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
・最暖月平均気温が10℃以上22℃未満(Cとaの条件)
・年中降水がある(降水パターンがs型でもw型でもない)(fの条件)
降水の型は「ケッペンの気候区分」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。これだけでは、どんな気候か直感的に理解するのは難しいです。西岸海洋性気候の条件をまとめると、「夏は暑すぎず、年中降水がある」といえそうです。この理由はあとで紹介します。さて、西岸海洋性気候にはどのような特徴があるのでしょうか?
・緯度40度~60度に分布
・土壌は褐色森林土
・植生は落葉広葉樹~針葉樹
・農業は酪農と混合農業
などの特徴があります。これらの特徴について1つずつ見ていきます。
西岸海洋性気候の分布
西岸海洋性気候は、緯度40度∼60度付近に分布します。この地域では、偏西風が吹くことと、沖合に暖流が流れていることで、年中降水し、年間の気温の変化が小さいため西岸海洋性気候になります。西ヨーロッパ、オーストラリア南東部、ニュージーランドなどがこれに該当します。特にヨーロッパでは、沖合を流れる暖流の北大西洋海流の上空を偏西風が吹くことで、高緯度地域でも温帯となります。また、標高が高いために夏の気温が上がらず、西岸海洋性気候になる地域や、海に近く海洋性の気候で高緯度な割には冬の気温があまり下がらないため西岸海洋性気候になる地域もあります。
西岸海洋性気候の植生・土壌
植生は、ブナやナラなどの落葉広葉樹と針葉樹の混合林が見られます。西岸海洋性気候ではブナがよく見られるため、ブナ気候とも呼ばれています。落葉広葉樹は、その名の通り落葉します。これが腐食し養分となるため、西岸海洋性気候の地域では、養分に富んだ褐色森林土が見られます。
西岸海洋性気候の農業
西岸海洋性気候の農業は標高によって2つに分けられます。
標高が低い地域:混合農業
標高が高い地域:酪農
標高が低い地域では、小麦やライ麦などの栽培と牛や豚などの家畜飼育を組み合わせた混合農業がおこなわれています。これよりも標高が高く気温が低いため作物栽培に向かない地域では酪農が営まれています。
西岸海洋性気候の雨温図とハイサーグラフ
西岸海洋性気候のハイサーグラフは上の図のように、円形に近い形になります。偏西風の影響で、降水量が年間を通して一定で、夏は涼しく冬は温かいためです。
まとめ
〇西岸海洋性気候の条件
最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
最暖月平均気温が10℃以上22℃未満(Cとaの条件)
年中降水がある(降水パターンがs型でもw型でもない)(fの条件)
〇分布
緯度40度∼60度付近
(西ヨーロッパ、オーストラリア南東部、ニュージーランド、アフリカ南端、チリ南部、アラスカ南部など)
〇植生と土壌
落葉広葉樹と針葉樹の混合林
褐色森林土
〇農業
標高が低い地域:混合農業
標高が高い地域:酪農