なぜ温暖冬季少雨気候(Cw)になる?分布、雨温図なども紹介

気候

温暖冬季少雨気候の特徴

さっそくですが、温暖冬季少雨気候の条件は次のようになります。

温暖冬季少雨気候の条件

・最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
・最暖月平均気温が10℃以上(Cの条件)
・冬の最少雨月降水量×10≦夏の最多雨月降水量(wの条件)

これだけでは、どんな気候か直感的に理解するのは難しいです。温暖冬季少雨気候の条件の特徴をまとめると、「冬でも温かく、雨は夏に多く冬は少ない」と言えそうです。雨は夏に多く冬は少ないのはサバナ気候と一緒で、温暖冬季少雨気候は、涼しくなったサバナ気候と考えると、イメージしやすいです。さて、温暖冬季少雨気候にはどのような特徴があるのでしょうか?

温暖冬季少雨気候の特徴

・サバナ気候の高緯度側に分布する
・土壌は赤黄色土
・植生は照葉樹
・アジアでは稲作、その他地域ではトウモロコシ小麦コーヒーの栽培が盛ん

などの特徴があります。これらの特徴を紹介する前に、温暖冬季少雨気候の成因について考えます。

温暖冬季少雨気候の成因

なぜ温暖冬季少雨気候の地域では「雨は夏に多く冬は少なく」なるのでしょうか?この原因は次の2パターンに分けられます。

温暖冬季少雨気候の成因

パターン1:気圧帯によるもの
パターン2:季節風(モンスーン)によるもの

1つずつ見ていきます。

パターン1:気圧帯による成因について

気圧帯はなぜ移動する?」の記事でも紹介しましたが、気圧帯は季節によって移動します。温暖冬季少雨気候の地域は、

夏:熱帯収束帯の影響で多雨になる

冬:亜熱帯高圧帯の影響で乾燥する

となります。この成因はサバナ気候の成因と同じものです。逆に、サバナ気候との違いは、気温です。サバナ気候より気温が下がると温暖冬季少雨気候になるのです。気圧帯の移動については、「サバナ気候の特徴とは?」の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。

パターン2:季節風(モンスーン)によるものについて

季節風(モンスーン)も季節によって風向きが変わります。温暖冬季少雨気候の地域は、

夏:海からの湿った季節風で多雨になる

冬:陸からの乾いた季節風で乾燥する

となります。このようにして、「雨が夏に多く冬は少なく」なるのです。

温暖冬季少雨気候の分布

分布の説明のために、熱帯雨林気候とサバナ気候も一緒に載せてあります。一見複雑に見える分布ですが、分布の仕方は成因によって次の2パターンにまとめられます。

温暖冬季少雨気候の分布パターン

パターン1:サバナ気候の周りに分布する(気圧帯による成因)
パターン2:季節風が吹く温かい地域に分布する(季節風による成因)

分布のパターンは成因を考えると納得できます。温暖冬季少雨気候には2つの成因(気圧帯の影響・季節風による影響)がありました。

パターン1の気圧帯の移動により冬季少雨になる地域は、同じ理由で冬季少雨になるサバナ気候の周りに位置します。温暖冬季少雨気候はサバナ気候よりも気温の低いところ、つまり、サバナ気候の高緯度側または標高が高い場所に分布します。さらに、サバナ気候は熱帯雨林気候の周りに分布するので、赤道側から熱帯雨林気候→サバナ気候→温暖冬季少雨気候となる傾向があります。

パターン2の季節風による成因で冬季少雨になる地域は具体的には、季節風が吹くアジアの温かい地域のみに分布します。以上を踏まえて、詳しく見ていきます。

パターン1:サバナ気候の高緯度側または標高が高い場所

サバナ気候より高緯度にあるため、気温が下がり温暖冬季少雨気候になる地域は次の場所です。

サバナ気候の地域より標高が高いことで、気温が下がり温暖冬季少雨気候になる地域は次の場所です。

パターン2:季節風が吹く温かい地域(モンスーンアジア)

季節風が吹いて、冬季少雨になる地域は次の場所です。

温暖冬季少雨気候の植生・土壌

温暖冬季少雨気候で見られる植生は、常緑広葉樹です。シイ・カシ・クスなどがよく見られます。これらの樹木は葉の表面が照って見えるため、常緑広葉樹の一種である、照葉樹と呼ばれています。

常緑広葉樹は名前の通り、常に葉がついていて落葉しないため、土壌は有機物の蓄積が少ない赤黄色土になります。高緯度側では、より腐食に富んだ褐色森林土が見られます。

温暖冬季少雨気候の農業

温暖冬季少雨気候の農業は、アジアとアジア以外で2つに分けられます。アジアでは、稲作が行われ、アフリカ・南米では小麦・トウモロコシ・コーヒー豆などの栽培が盛んです。アジアでは、冬でも比較的高い気温を生かして、1年に2度米を収穫する二期作が行われています。また、茶の栽培も盛んです。アフリカ・南米の作物は、原産地を考えると覚えやすいです。トウモロコシの原産地はアメリカ大陸、コーヒー豆の原産地はアフリカのエチオピアと言われていて、原産地で現在も栽培が行われているのです。

温暖冬季少雨気候の雨温図とハイサーグラフ

雨温図から夏に降水量が多く、冬に少ないことが読み取れます。また、温暖冬季少雨気候のハイサーグラフの形は、上の図のように右上がりになります。

まとめ

温暖冬季少雨気候(Cw)のまとめ

〇温暖冬季少雨気候の条件
最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満(Cの条件)
最暖月平均気温が10℃以上(Cの条件)
冬の最少雨月降水量×10≦夏の最多雨月降水量(wの条件)

〇成因
パターン1:気圧帯により冬季少雨になる
パターン2:季節風(モンスーン)の風向きの変化により冬季少雨になる

〇分布
パターン1:サバナ気候の高緯度側または標高が高い場所(気圧帯による成因)
パターン2:季節風が吹く温かいアジア(季節風による成因)

〇植生は照葉樹

〇土壌は赤黄色土

〇農業
アジア:稲作
アフリカ・南米:トウモロコシ・小麦・コーヒー豆

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