風の種類
地球上には様々な風が吹いていますが、風の吹く要因から以下のように分類することができます。
恒常風:1年中同じ向きに風が吹く
季節風:季節によって風の吹く向きが変わる
地方風(局地風):ある地域特有の局地的な風
熱帯低気圧による風:台風・ハリケーン・サイクロンによって風が吹く
風は三大気候要素の1つで、気候を語る上では欠かせません。では、それぞれの風を紹介します。
恒常風
恒常風とは、1年中同じ向きに吹く風のことです。恒常風には次の3種類の風があります。
貿易風:北緯10度、南緯10度付近を亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯に向かって吹く風
偏西風:北緯40度、南緯40度付近を亜熱帯高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹く風
極偏東風:北緯70度、南緯70度付近で極高圧帯から吹き出す風
気圧帯の詳しい説明は次の記事を参照してください。
これらの恒常風は以下の図の場所で吹きます。
この3つの風は、すべて気圧帯の影響により南北方向に風が吹くはずですが、地球の自転によるコリオリの力により、風の進行方向が曲げられます。
貿易風: 高緯度→低緯度の風向きを東に曲げる
偏西風:低緯度→高緯度の風向きを西に曲げる
極偏東風:高緯度→低緯度の風向きを東に曲げる
季節風
季節風は季節によって風向きが変わります。
大陸と海洋の暖めりやすさと冷めやすさ(比熱)の違いによって、
夏の風向き:海洋→大陸
冬の風向き:大陸→海洋
と風向きを変えます。季節風は東アジア、東南アジア、南アジアで顕著にみられます。このため、これらの地域はモンスーンアジアとも呼ばれます。
季節風の詳しい説明は次の記事を参照してください。
地方風(局地風)
地方風はある地域特有の局所的な風のことです。恒常風や季節風が気圧帯や緯度、隔海度などの大きなスケールの気候因子に影響を受けて生じているのに対して、地方風は、その地域の地形など比較的小さなスケールの気候因子に影響を受けていることが特徴です。地方風は局地風とも呼ばれ、以下のような風があります。
地方風(局地風) | 向き | 特徴 |
---|---|---|
フェーン | アルプス山脈を南→北 | 山脈を超える前後で気温、降水量が変化する |
ボラ | 東欧→アドリア海 | 冷たく乾燥している |
シロッコ | サハラ砂漠→南欧 | 熱く乾燥し、砂塵やほこりが多い |
ミストラル | フランス北部→南部 | 冷たく乾燥している |
ハルマッタン | サハラ砂漠→ギニア湾岸 | 熱く乾燥し、砂塵やほこりが多い |
ブリザード | カナダ北部→南部 | 激しい降雪をもたらす強い風 |
やませ | 北日本の北東→南西 | 冷たく湿っており、農作物に冷害をもたらす |
フェーンはフェーン現象の語源となった地域風です。フェーン現象についての詳しい説明はこちらをご参照ください。
熱帯低気圧による風
熱帯低気圧とは、熱帯・亜熱帯地域の会場で発生する低気圧のことで、地域によって台風(タイフーン)・サイクロン・ハリケーンなどと様々な呼び方があります。台風が風をもたらすのは想像しやすいですね。それぞれの発生地域と呼び方は以下の通りです。
・台風:北西太平洋
・サイクロン:インド洋・南太平洋
・ハリケーン:大西洋・北東太平洋
これらを地図上に表すと次のようになります。
熱帯・亜熱帯地域では熱く、上昇気流が生じます。ここでコリオリの力により上昇気流の進む向きが曲げられ、風が生じるのです。
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