砂漠気候(BW)の条件や分布の法則とは?

気候

砂漠気候の特徴

早速ですが、砂漠気候の特徴は次のようになります。

砂漠気候の特徴

・雨がほとんど降らない(年降水量が約250㎜以下)
・分布には法則がある(後で紹介します)
・乾燥しすぎて植物が育たない
・日較差が大きい

砂漠気候は、砂漠という名の通り、降水量が少なく砂漠が広がっています。一言に砂漠といっても、砂漠の粒の大きさによって、砂砂漠礫(れき)砂漠岩石砂漠の3つに分けられます。そして、砂漠気候の分布には4つの法則があります。これは後程紹介します。日較差が大きい理由は、雲などさえぎる物がないため夜間に放射冷却されるからです。

砂漠気候の条件

では、ケッペンの気候区分で、砂漠気候はどのように分類されるのでしょうか?ケッペンの気候区分では、降水量に注目して

年降水量が約250㎜以下→砂漠気候(BW)
年降水量が約250~500㎜→ステップ気候(BS)

と分類されます。厳密には、

年降水量<1/2乾燥限界値(r)

の時、砂漠気候となります。乾燥限界値は、計算が難しくて

乾燥限界値rの計算方法

年平均気温をtとすると
・s気候(夏に乾燥)の場合:r=20t
・w気候(冬に乾燥)の場合:r=20(t+14)
・f気候(乾季なし)の場合:r=20(t+7)

となります。ですが、テストなどでこの計算が問われることはないと思います。

砂漠気候の雨温図とハイサーグラフ

雨温図とハイサーグラフを確認すると、年間を通して降水量がほとんど0であることが分かります。

砂漠気候の分布

砂漠気候の分布は下のようになります。

砂漠気候がある国は、アフリカのエジプト・リビア・アルジェリア・ナミビア、ユーラシア大陸の中国・モンゴル・カザフスタン・サウジアラビア・イランやアメリカ・ペルー・アルゼンチン・オーストラリアなどです。

この分布を覚えるのには苦労しますよね。ですがある条件によって、世界中に広まっているように見える砂漠気候の場所は絞れるのです。その条件は4つあり、

砂漠気候の分布の法則4つ

・亜熱帯高圧帯に覆われる場所にできる(緯度20∼30度)
・海から離れた内陸にできる
・沖合に寒流が流れている大陸西岸にできる
・山脈の風下にできる

では、1つずつ見ていきます。

法則1:亜熱帯高圧帯に覆われる場所にできる(緯度20∼30度)

砂漠気候は、亜熱帯高圧帯に年中覆われている地域、つまり緯度が20∼30度くらいに分布します。亜熱帯高圧帯が下降気流を生み乾燥させるためです。このようにしてできた砂漠を回帰線砂漠といいます。具体的な例は、サハラ砂漠、ルブアルハリ砂漠。ナミブ砂漠。グレートビクトリア砂漠などです。

法則2:海から離れた内陸にできる

砂漠気候は、海から離れた内陸部は砂漠気候になりやすいです。内陸部は海の水分を組んだ空気が到達せず、乾燥するからです。このようにしてできた砂漠を内陸砂漠といいます。具体的な例は、カラクム砂漠、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠などです。

法則3:沖合に寒流が流れている大陸西岸にできる

沖合に寒流が慣れている大陸西岸は砂漠になりやすいです。なぜ砂漠になりやすいかは、「」の記事で詳しく解説しています。このようにしてできた砂漠を海岸砂漠といいます。具体的な例は、ナミブ砂漠、アタカマ砂漠などです。

法則4:山脈の風下にできる

最後に、山脈の風下も砂漠になりやすいです。大気が山脈を越えると高温になり乾燥するからです。このようにしてできた砂漠を雨陰砂漠といいます。具体的な例は、パタゴニアです。

砂漠気候の植生・土壌

砂漠気候は乾燥していて植物が育たないため、植生はありません。土壌は砂漠土です。砂漠気候は乾燥しているので、地中の水分がどんどん地表の方に集まり、蒸発していきます。この時、水分は地中の塩類も一緒に地表に集めてしまいます。なので地表の砂漠土は、強いアルカリ性になります。また、植生がないため植物の腐食も起こらず養分に乏しくなります。

砂漠気候の暮らし

砂漠気候では生活に必要な水が得られないため、人は住むことができません。しかし工夫をすることによって砂漠気候でも済むことができるようになります。その工夫とは、

砂漠気候で暮らすための工夫3つ

・外来河川の近くに住む
・オアシスの近くに住む
・地下用水路を作って水を引く

1つずつ紹介します。

工夫1:外来河川の近くに住む

外来河川とは、上流が湿潤な気候にあり、そこで供給された水が下流の乾燥帯まで流れている川のことです。このような川の周囲では簡単に水を得るとこができます。外来河川の例は、ナイル川、ティグリス川、ユーフラテス川、アムダリア川などです。

工夫2:オアシスの近くに住む

オアシスとは地下水や河川の水、雪解け水などがある場所で地下からあふれ出で、周囲に緑地を形成している場所のことです。オアシスでも水が得られるのでそこに住むことができます。かつては交易の中継地としても利用されました。

工夫3:地下用水路を作って水を引く

外来河川もオアシスもない場所では、地下用水路を作って水源から水を引くことで、住めるようになります。

Samuel Bailey (2009). “A cross section of a typical qanat”. https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Qanat_cross_section.svgを編集して使用

このように、水路は地下にあるのですが、これは途中で水が蒸発するのを防ぐためです。また、水路の途中に修理するための縦穴がみられます。地下用水路は地域によって呼び方が異なります。

場所呼び方
イランカナート
アフガニスタン・パキスタンなどカレーズ
北アフリカフォガラ

本来、人が住めない場所に暮らすための工夫を3つ紹介しましたが、人が居住している地域をエクメーネ、居住していない地域をアネクメーネと呼びます。

砂漠気候の農業

砂漠気候では、外来河川・オアシス・地下用水路を利用した農業がおこなわれています。乾燥に強いナツメヤシ・オリーブ・柑橘類などが栽培されています。近年では、センターピボット方式と呼ばれる地下水をくみ上げて農地にまく農業も行われています。

まとめ

まとめ

砂漠気候(BW)の特徴
・雨がほとんど降らない(年降水量が約250㎜以下)
・分布には法則がある(後で紹介します)
・乾燥しすぎて植物が育たない
・日較差が大きい

砂漠気候(BW)の条件
・年降水量が約250㎜以下→砂漠気候(BW)
・年降水量が約250~500㎜→ステップ気候(BS)

砂漠気候(BW)の分布の法則
・亜熱帯高圧帯に覆われる場所にできる(緯度20∼30度)
・海から離れた内陸にできる
・沖合に寒流が流れている大陸西岸にできる
・山脈の風下にできる

砂漠気候(BW)の土壌:砂漠土

砂漠気候(BW)で暮らすための工夫
・外来河川の近くに住む
・オアシスの近くに住む
・地下用水路を作って水を引く

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