地球温暖化を一言で
地球温暖化とは、温室効果ガスの濃度が上昇することで、地表が反射した熱の放散が妨げられ、地球全体の気温が上昇することです。地球温暖化の詳しい説明をする前に、温室効果ガスについて説明します。
温室効果ガスとは
温室効果ガスとは、熱をため込む働きがある気体のことです。大気中の温室効果ガスの濃度上昇により、地球温暖化が進行します。温室効果ガスは下記のような気体があります。
温室効果ガス | 発生原因 | 地球温暖化係数 | 寄与率/% |
二酸化炭素 | 化石燃料の燃焼 | 1 | 60 |
メタン | 家畜の糞、牛のげっぷ、水田 | 24.5 | 20 |
一酸化二窒素 | 窒素肥料の利用 | 320 | 6 |
フロン | エアコンの冷媒 | 4000~8500 | 14 |
水蒸気 | 海水温上昇 | – | – |
ここで、地球温暖化係数とは、二酸化炭素1分子当たりの温室効果能力を1としたときの各分子の温室効果能力です。つまり、その気体がどのくらいの温室効果をもたらすのかを表した数字です。寄与率とは、温室効果の原因全体に占めるその気体が占める割合です。
地球温暖化とその原因
地球温暖化とは、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇することで、地表が反射した熱の放散が妨げられ、地球全体の気温が上昇することです。
産業革命前と比較すると、近年の地球の平均気温は約0.68℃上昇しています。この気温上昇の最も大きな要因は温室効果ガスによるものです。産業革命以降、化石燃料の燃焼量が増加し、大気中に二酸化炭素が排出されたことで、地球温暖化が進みました。地球温暖化が減税でも進行中です。このままのペースで温室効果ガスが放出されると、2100年までに地球の平均気温は最大で5.8℃上昇するといわれています。
地球温暖化の加速がさらなる地球温暖化を招くことがあります。例えば、高緯度地域(南極やグリーンランド)や高山地域では上の図のように、氷床・氷河の減少がさらなる地球温暖化を招きます。
また、上の図のように、地表の雪が減少すると地表が露出します。雪が白く、太陽光を反射するため熱を吸収しにくいのに対して、地表は熱を吸収しやすいのでさらに気温が上昇します。その気温の上昇がさらなる雪の減少を招き、地球温暖化を加速させます。
二酸化炭素排出量
地球温暖化の主な原因は温室効果ガスの濃度上昇です。また温室効果ガスの地球温暖化への寄与率は、二酸化炭素が一番高くなっています。地球温暖化と密接に関係する二酸化炭素の排出についてみていきましょう。
大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命前が280ppmであったのに対して、2013年には396ppmとなっており、大幅に上昇しています(IPCC第5回評価報告書による)。では、二酸化炭素はどのような国で多く排出されているのでしょうか。
上のグラフは国別の二酸化炭素排出量ランキングのトップ10です。国別の二酸化炭素の排出量は、1人当たりの排出量と人口で決まります。よって、人口が多い国ほど、排出量も大きくなることがわかります。では1人当たりの排出量はどのような国で多くなっているのでしょうか。
上の表は、主な国の1人当たりの二酸化炭素排出量です。1人亜谷の排出量が多い国と少ない国にはそれぞれ下記のような特徴があります。
排出量小:発展途上国、暖かい国、
排出量大:先進国、寒い国、重化学工業が盛んな国、エネルギー供給の多くを石炭で賄っている国
一般に発展途上国より先進国のほうが1人当たりのエネルギー供給量が多いため、1人当たりの二酸化炭素排出量が多くなります。また、暖かい地域より寒い地域のほうが暖房を多く使うため、1人当たりの二酸化炭素排出量は多くなります。そして、石油精製工業や鉄鋼業などの重化学工業が盛んな国も二酸化炭素排出量が多くなります。これは、それらを生産するときに多くの二酸化炭素が排出されるためです。エネルギー供給の多くを石炭で賄っている国も排出量が多くなります。これは石炭がほかの化石燃料と比較して発電効率が低く、多くの二酸化炭素を排出するからです。エネルギー供給の多くを石炭で賄っている国は、国内で石炭が取れる石炭産出国に多いので、石炭産出国は、一人当たりの二酸化炭素排出量が多くなる傾向があります。
地球温暖化の影響
地球温暖化は次のような現象をもたらします。
海面上昇
地球温暖化により20世紀の200年の間で海水面は約17㎝上昇しました。2100年までに最大82㎝上昇すると予測されています。海面上昇の主な原因は、海水の熱膨張や高緯度・高山地域の氷河や氷床の融解です。オランダ、バングラディシュなどの海抜が低い国は、海面上昇により国土を失う可能性があります。またサンゴ礁でできた島々は、海面上昇により海岸浸食がすすむ被害が出ます。
高潮
海抜の低い沿岸部では高潮の発生により浸水します。
異常気象
例えば、大規模な洪水が起こると、電気や水道などのインフラが使えなくなったり、山間部で土砂災害が起きたりします。被害が拡大していけば、保険料の上昇が懸念されます。
干ばつ
気温上昇により干ばつが進むと、農作物が育たなくなり、食糧不足が起きる可能性があります。農作物が育たなくなった地域に住む人々は難民になる可能性があります。
熱波
熱波による人間への健康被害が予想されます。低緯度地域では、スポーツの試合が日中に屋外で行うことが困難になり、ナイター戦や屋内での開催にシフトしていきます。
生態系、生物多様性の影響
地球温暖化で気温が上昇することで生態系の変化がみられます。これにより多くの生物が絶滅する可能性があります。また気温が上昇し、環境が変化することで、熱帯地域の風土病であるマラリアなどの感染症がほかの地域にも拡大する可能性があります。
地球温暖化の国際的な取り組み
国連環境開発会議(地球サミット)
1992年にブラジルのリオデジャネイロで国連環境開発会議が開催されました。ここでは国家間で持続可能な開発など様々な話し合いが行われ、持続可能な開発のための行動計画であるアジェンダ21が採択されました。生物多様性条約や気候変動枠組条約(地球温暖化防止条約)(1994年発効)なども採択されました。気候変動枠組条約では、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化し、変動を防止することが決まられました。
気候変動枠組条約の第3回締結国会議(COP3)
1997年に日本の京都で開催されました。この会議では、京都議定書(2005年発効)が採択されました。京都議定書では温室効果ガス削減の具体的な数値目標が掲げられました。数値目標は国や地域ごとに異なるもので、中国やインドなどの二酸化炭素排出量上位国に削減の数値目標がなかったり、2001年にアメリカが離脱したりすることで課題が残りました。
第2回地球サミット
2001年に南アフリカのヨハネスバーグで行われました。この会議では、自国の経済発展を優先したい発展途上国と、持続性を優先したい先進国との間で対立が生まれました。
気候変動枠組み条約の第21回締結国会議(COP21)
2015年にフランスのパリで開催されました。この会議ではパリ協定が採択されました(2016年発効)。パリ協定はすべての国に対して温室効果ガスの削減目標が定められました。これは中国などの発展途上国に削減目標が定められなかった京都議定書に比べ、大きな進歩となりました。温室効果ガスの歳出を実質ゼロにすること、産業革命前からの気温上昇を2℃未満にすることなどが盛り込まれています。2017年にアメリカのトランプ大統領がパリ協定の脱退に著名しましたが、現在のバイデン大統領はパリ協定へ復帰しました。
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