フェーン現象とは?

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フェーン現象とは?

管理人
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この記事はこんな人にお勧め

・中学・高校受験勉強でフェーン現象が出てきたので、詳しい原理を理解したい方。

・フェーン現象の計算問題が解けるようになりたい方。

・天気のニュースでフェーン現象に興味を持った方。

フェーン現象とは、風が山を越えるとき、山の風下側が高温乾燥になる現象のことです。フェーンとは、ヨーロッパのアルプス山脈から吹き降ろした高温の局地風(特定の地域にだけ吹く風)のことです。近年では、フェーンと同じ原理で起きる現象は、アルプス地域でなくても、フェーン現象といいます。漢字で書くと、風炎(ふうえん)となります。フェーン現象が起きると、その地域の気温が急速に上昇することがあります。

フェーン現象の原理

上の図を見てください。これは山脈を垂直に切断した断面図です。

空気が雲を作らずに上昇する時、100m上昇するごとに温度が1℃下がります。(図の左)

しかし、気温が下がるとあるってんからは雲が発生します。雲が作りながら空気が上昇すると、100m上昇するごとに温度が0.5℃しか下がりません。(図の中央)

そして、空気が下降するとき、100m下降するごとに1℃上がります。

すると山の風上の標高500m地点で気温が20℃だったものが、風下の標高500m地点では、気温が22.5℃と2.5℃上がりました。このように、風が山を越えることによって、気温が上がり、乾燥する現象をフェーン現象といいます。

ここで1つの疑問が生じます。図の左側(乾燥断熱変化)と中央(湿潤断熱変化)で、気温の変化する割合が違うのです。これはどのような原理で生じるのでしょうか?

これは空気中に含まれる気体の水蒸気が冷やされて液体の水へと状態変化することで熱を放出するのです。

 フェーン現象の湿潤断熱変化(図中央)
状態変化汗:液体→気体水蒸気→雲(気体→液体)
現象体から熱を吸収外へ熱を放出

簡単な例を見てみましょう。人は暑いと汗をかきます。液体の汗は、蒸発し気体に状態変化するときに、体の熱を奪います。これは水が液体→気体に変化するときに熱を吸収する例です。

ではその逆(水:気体→液体)はどのようになるのでしょうか?これは先ほどの例で、熱を吸収したことに対して、熱を放出します。

これが、雲を作りながら期待が上昇する時に、気温の減少を抑える要因となっているのです。気温が下がり、空気の湿度が100%になることで、水蒸気が飽和し、液体になることで雲ができます。水が期待から液体へと変化するときに熱を発するのです。少し難しい言葉で表すと、凝結するときに潜熱を放出する現象が図中央の湿潤断熱変化です。

以下、内容が難しくなるので、次の章まで飛ばしてもらって構いません。

図の右と左の乾燥断熱変化について説明します。まず図の左側を見てみましょう。ここで、空気が上昇するときに気温が減少するのは、断熱膨張によるものです。断熱とは空気が周りとの熱のやり取りがないことを表します。膨張とは、空気が膨らんで体積が大きくなることを表します。断熱膨張すると気温が下降します。これを断熱冷却といいます。このことは熱力学第1法則で説明できます。

熱力学第1法則

ΔQ = Δu + ΔW

Q=加えた熱量(今回は0)

u=内部エネルギー(今回は空気の温度のこと)

W=体積の変化

ΔQ = Δu + ΔW

今回は断熱なのでΔQ=0です。また空気が上昇するとき、膨張して体積が増加するので、ΔWはプラスの値です。ここでは仮にΔW=100としておきます。ΔQ=0とΔW=100を先ほどの熱力学第1法則の式に代入するとΔu=-100となり、温度が減少することがわかります。

これに対して、図の右側の乾燥断熱変化では、空気の加工により断熱圧縮されることで、気温が上昇する断熱昇温を生じています。これも熱力学第1法則で説明することができます。

フェーン現象の計算方法は?

上の図は先ほどのものです。フェーン現象の原理がわかったところで、次は、実際に具体的な計算をしてみましょう。

まずは図の左側の500mから1000mまで上昇するところです。ここでは標高が100m上昇するごとに気温が1℃減少するので、ここで下降した気温をXとすると、

100m:1℃=(1000m-500m):X

これを解いてX­­=5℃と分かります。

ここで気温は、20℃→15℃となりました。

次は図の真ん中の1000mから1500mまで上昇するところです。ここでは標高が100m上昇するごとに、気温は0.5℃減少するので、ここで下降した気温をX2とすると、

100m:0.5℃=(1500m-1000m):X2

これを解いてX2­­=2.5℃と分かります。

ここで気温は、15℃→12.5℃となりました。

最後は図の右側の1500mから500mに下降するところです。ここでは、標高が100m下降するごとに、気温は1℃上昇するので、ここで下降した気温をX3とすると、

100m:1℃=(1500m-500m):X3

これを解いてX3=10℃と分かります。

ここで気温は、12.5℃→22.5℃となりました。

同じ標高500mでも山の風上側では気温が20℃、風下側では気温が22.5℃と、2.5℃上昇していることがわかります。

日本のフェーン現象

日本でもフェーン現象は見られます。日本列島の中央に連なる脊梁(せきりょう)山脈を南風が越えることで、日本海側に季節外れの高温と乾燥をもたらすことがあります。1933年から2007年まで日本の最高気温ランキング1位に君臨し続けた山形の40.8℃もフェーン現象によるものです。フェーン現象は高温と同時に乾燥もするので、火災の被害が拡大します。例えば、2016年に起きた新潟県の糸魚川市の大規模火災は、フェーン現象で乾燥していたことが被害を拡大させました。また盆地でも周囲の山から吹き下ろした風が高温・乾燥になりフェーン現象を起こすことが良くあります。

風向きが逆になると、太平洋側が乾燥します。この時、山から吹き下ろす乾燥した風を「からっ風」といいます。群馬県では、「上州のからっ風」「赤城おろし」、静岡県では、「遠州のからっ風」が有名です。

世界のフェーン現象【フェーン・シヌーク・ゾンダ】

世界でもフェーン現象と同じ原理の局地風が多数見られます。

  • フェーン:上記の通り、ヨーロッパのアルプス山脈の北側に南から吹き下ろす高温・乾燥した風のことです。この地域では、雪が早く溶けブドウが豊富に取れました。
  • シヌーク:北アメリカ大陸のロッキー山脈の斜面を振り下ろす高温・乾燥した風のこと。
  • ゾンダ:南アメリカ大陸のアンデス山脈から吹き下ろす西向きの高温・乾燥した風。

湿ったフェーン(熱力学的フェーン)と乾いたフェーン(力学的フェーン)

一般的には上の図の山の風上側の空気が上昇し、雲を作ることで、風下側の気温が上昇するという湿ったフェーンのメカニズムが説明されてきました。これは熱力学を扱うものなので、熱力学的メカニズムと呼ばれています。

これに対し、乾いたフェーンというものもあります。(上の図)これは力学的メカニズムによって説明できるものです。空気が山の斜面を下降する際に、乾燥断熱変化し温度が上昇するという原理です。

まとめ

  • フェーン現象とは、風が山を越えるとき、山の風下側が高温乾燥になる現象のこと
  • フェーン現象には、乾いたフェーンと湿ったフェーンがあるが、湿ったフェーンは水蒸気が液体に変化することによって生じる熱で、風下側が暖められる。
  • フェーン現象は、高温、乾燥し、火災の被害を拡大させる。

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