地中海性気候(Cs)の特徴
地中海性気候は、温帯の属する4つの気候区のうちの1つです。アルファベットではCsと表記されますが、Cは温帯を、sは夏に乾燥することを示しています。地中海性気候の条件は次のようになります。
・最寒月平均気温が-3度以上18℃未満(Cの定義)
・最多雨月降水量が最小雨月降水量の10倍以上(sの定義)
地中海性気候は温かく、夏に乾燥し、冬に雨が多くなります。また、最暖月平均気温が22℃以上の気候をオリーブ気候(Csa)、22℃未満をエリカ気候(Csb・Csc)と分類することもあります。
地中海性気候が冬に降水する理由は偏西風が湿った風を運んでくるためです。一方、夏に乾燥する理由は亜熱帯高圧帯の影響です。亜熱帯高圧帯の移動の原理は、熱帯収束帯の移動の原理と同じで「サバナ気候の特徴を詳しく解説」で詳しく解説しているので参考にしてください。このため、地中海性気候は、同じく亜熱帯高圧帯の影響で乾燥しているステップ気候の高緯度側にみられます。詳しい分布は後程紹介します。
地中海性気候の雨温図とハイサーグラフ
地中海性気候は夏に乾燥することが確かめられます。また、最寒月平均気温が-3度以上18℃未満で、温帯の条件も満たしています。
地中海性気候の分布
地中海性気候は緯度30度~45度付近の限られた地域(特に大陸西岸)のみに分布します。夏に亜熱帯高圧帯が移動してきて乾燥させる地域緯度30度~45度だからです。地中海性気候の具体的な地域は、地中海沿岸、アフリカ大陸南端、オーストラリア大陸南西端、南アメリカ大陸と北アメリカ大陸西岸の緯度30度~45度です。国名を挙げると、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、モロッコ、アルジェリア、トルコ、スラエル、イラン、ウズベキスタン、アメリカ、チリ、オーストラリア、南アフリカなどです。ユーラシア大陸を詳しく見ていきます。
ユーラシア大陸を見ると、確かに緯度30度~45度付近に分布していることが分かります。大陸東岸が地中海性気候でないのは、この地域ではモンスーンの影響で夏に多くの雨が降るからです。
地中海性気候の植生
地中海性気候は、乾燥に強い硬葉樹が見られます。硬葉樹は葉っぱが固く小さいため乾燥に耐えることができます。夏の乾燥が激しいため、他の温帯の気候区と比べると樹林に乏しくなっています。
地中海性気候の土壌
地中海性気候の土壌は赤黄色土~栗色土です。赤黄色土~栗色土は成帯土壌の一種で農業には向かない土壌です。そして、もう一つ重要な土壌がテラロッサです。テラロッサは堆積によって形成される成帯土壌と異なり、母岩の風化を受けて形成された間帯土壌の一種です。石灰岩の風化を受けて赤紫色をしていてスペインやイタリアに分布します。テラロッサはイタリア語で赤い土を言う意味なので、テラロッサが赤紫色というのは覚えやすいと思います。養分に乏しく農業に向かない土壌です。
地中海性気候の農業
地中海性気候は夏の乾燥が厳しく、乾燥に強い作物であるオリーブ・コルクがし・柑橘類・ぶどうなどの栽培がおこなわれています。地中海沿岸では、冬季の間は降水を利用して小麦の栽培が盛んです。また、アメリカのカリフォルニアでは灌漑を利用して稲作が行われています。
地中海性気候の暮らし
地中海性気候の地域の伝統的な家屋は夏の強い日差しを避けるために窓などの開口部は小さくなっています。
また、地中海性気候の地中海沿岸では、天気が良いので観光客が多く訪れます。イタリアのリグーリア海岸からフランスのコートダジュール、スペインのコスタデルソルにかけてはリゾート地が連なっています。
まとめ
〇地中海性気候の条件
・最寒月平均気温が-3度以上18℃未満(Cの定義)
・最多雨月降水量が最小雨月降水量の10倍以上(sの定義)
〇分布
緯度30度∼45度付近の限られた地域(特に大陸西岸)
〇植生
乾燥に強い硬葉樹
〇土壌
赤黄色土~栗色土(成帯土壌)
テラロッサ(地中海沿岸)(間帯土壌)
〇農業
オリーブ・コルクがし・柑橘類・ぶどう・小麦(冬)
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