年較差・日較差の違い
年較差・日較差とはどのようなものなのでしょうか?年較差は、1年で最も温かい月の平均気温と1年で最も寒い月の平均気温の差です。1年で最も温かい月を最暖月、1年で最も寒い月を最寒月といいますから、年較差とは
年較差=最暖月平均気温―最寒月平均気温
となります。
一方、日較差とは、1日のうち1番温かい気温と1番寒い気温の差なので、
日較差=1日で1番高い気温―1日で1番低い気温
となります。例えば、最暖月平均気温が25℃、最寒月平均気温が10℃の場合、年較差は
年較差=最暖月平均気温-最暖月平均気温=25℃―10℃=15℃
となります。
年較差は何に影響される?
復習をすると、年較差とは
年較差=最暖月平均気温-最暖月平均気温
でした。では、年較差が大きい地域と小さい地域にはどのような差があるのでしょうか?年較差は何に影響され変化するのでしょうか?
年較差は、主に3つの要素により変化します。
・緯度
・隔海度
・大陸の西岸か東岸か
つまり、海に近いところは隔海度が小さい、海が遠い場所は隔海度が大きいといいます。
では、なぜこの3つが年較差に影響するのか詳しく解説します。
年較差の緯度による影響
年較差は緯度によって変化します。緯度とは、赤道からどのくらい離れているかを表したものです。 年較差は
高緯度地域の年較差>低緯度地域の年較差
となります。高緯度地域つまり、北極・南極側は赤道側よりも年較差が大きいです。赤道に近い地域は、1年を通して暑い夏で気温の変化があまりないのに対して、日本は四季があるように1年の気温の変化が大きくなります。このように赤道に近い程、1年の気温の変化は小さくなるのです。
緯度による年較差は、季節によって太陽から受け取るエネルギーがどれだけ変化するかによって決まります。地球の自転軸が傾いていると季節によって受け取る太陽のエネルギーが異なることはご存じかと思います。この時、1年を通して受け取る太陽のエネルギーは赤道側が一定であるのに対して、北極・南極側は夏と冬の差が大きくなります。この受け取る太陽のエネルギーの差が緯度による年較差の差の原因なのです。
年較差の隔海度による影響
隔海度、つまり海からどのくらい離れているかによっても年較差は変化します。年較差は、
隔海度が大きい地域の年較差>隔海度が小さい地域の年較差
となります。
この理由は、海と陸地の比熱の差にあります。
つまり、
比熱が小さい→温まりやすく冷めやすい
比熱が大きい→温まりにくく冷めにくい
となります。
海は比熱が大きい、つまり温まりにくく冷めにくいです。一方、陸地は比熱が小さい、つまり温まりやすく冷めやすくなっています。このため、夏は海より陸の方が温かく、冬は海より陸の方が寒くなります。このため、隔海度の大きい海から離れた内陸部程、年較差が大きくなります。また、海沿いの気温の変化が小さい気候を海洋性気候、内陸部の気温の変化が大きい地域を大陸性気候と呼びます。
比熱の話は、次の記事でも説明しているのでよかったら参考にしてください。
年較差の位置(大陸の西岸or東岸)による影響
さいごに、年較差は、
大陸の西岸の年較差<大陸の東岸の年較差
となります。下の図を見てください。
これは、冬の等温線を示した地図です。
ユーラシア大陸の西側に位置するヨーロッパは、温かい暖流の上を通過した偏西風が吹いているため、冬でも気温が温かくなります。一方、ユーラシア大陸の東側にある日本は、大陸からの冷たい季節風が吹くため、冬は低温になります。このように、風による冬の気温の差が存在するため、年較差は大陸の西岸よりも東岸の方が大きくなります。
偏西風についての詳しい説明は次の記事を参照してください。
冬の季節風が冷たい理由は次の記事を参照してください。
このように、年較差は、緯度・隔海度・大陸の西岸or東岸によって決まります。
日較差は何に影響される?
復習をすると、日較差とは、
日較差=1日で1番高い気温―1日で1番低い気温
でした。では、日較差は何に影響され変化するのでしょうか?日較差は主に次の3つにより変化します。
・隔海度
・雲
・植生
これらがなぜ日較差を変化させるか詳しく説明します。
日較差の隔海度による影響
日較差は、
隔海度の大きい地域(内陸)の日較差>隔海度の小さい地域(海辺)の日較差
となります。
日較差が隔海度によって変化する理由は、海と陸地の比熱の差です。
これは、年較差で説明した原理と同じものです。隔海度が大きい内陸は比熱が小さいため昼は暑く、夜は寒くなります。一方、隔海度が小さい海辺は比熱が大きいため、昼と夜の気温の変化は小さくなります。
日較差の雲による影響
日較差は晴れているか曇っているかによっても影響されます。
晴れの日の日較差>曇りの日の日較差
この理由は、地球が雲という掛布団をかぶっているからです。これだけでは分かりませんね。わかりやすく説明します。下の図を見てください。
図の通り、晴れの日は、昼は直射日光により高温になり、夜は熱が空に放射されるため低温になります。このため、日較差は大きくなります。一方、曇りの日は、昼は直射日光が雲によってさえぎられるため高温にならず、夜は熱の放射を雲がさえぎるため熱がこもり気温が下がりにくいです。このため日較差は
晴れの日の日較差>曇りの日の日較差
となります。
日較差の植生による影響
日較差は植生にも影響されます。では日較差は、植物が生い茂っている場所と、植物がない砂漠ではどちらが大きくなるでしょうか?
正解は植物がない砂漠の方が日較差が大きくなります。つまり、
森林の日較差<砂漠の日較差
となります。これは、植物に含まれる水分が大きな比熱を持つためです。
植物が生い茂っていると、植物に含まれる水分も多くなるため、その場所の比熱は大きくなります。つまり、植物は暖まりにくく冷めにくいです。また、植物の蒸散によって、気温が上がりにくくなることもあります。このため、
森林の日較差<砂漠の日較差
となります。
このように、日較差は、隔海度・雲の有無・植生によって変化します。
まとめ
以上をまとめると次のようになります。
年較差=最暖月平均気温―最寒月平均気温
日較差=1日で1番高い気温―1日で1番低い気温
年較差に影響を及ぼすもの
・高緯度地域の年較差>低緯度地域の年較差
・隔海度が大きい地域(内陸)の年較差>隔海度が小さい地域(海辺)の年較差
・大陸の西岸の年較差<大陸の東岸の年較差
日較差に影響を及ぼすもの
・隔海度の大きい地域(内陸)の日較差>隔海度の小さい地域(海辺)の日較差
・晴れの日の日較差>曇りの日の日較差
・森林の日較差<砂漠の日較差
その他気温についての詳しい説明は次の記事を参照してください。
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