日本の穀物自給率は非常に低く、穀物の多くを海外から輸入しています。世界には、そんな穀物の価格に大きな影響力を及ぼす穀物メジャーという企業が存在します。今回は穀物メジャーについて解説します。
穀物メジャーとアグリビジネスの違いとは?
穀物メジャーとアグリビジネスの違いは何でしょうか?まずそれぞれの用語を簡潔に説明します。
穀物メジャー:穀物に関する様々な事業を行う多国籍企業。
アグリビジネス:農業に関連するありとあらゆる事業のこと。
アグリビジネスは、事業を指し、穀物メジャーはアグルビジネスの中でも穀物に関する事業を行う会社のことを指します。また、穀物メジャーは穀物取引において大きな影響力を持っています。
上記の図は、アグリビジネスの事業内容を表した図です。ここで、穀物メジャーは主に生産より後の加工・流通・販売の過程を取り扱います。
次の章からは、穀物メジャーに焦点を当てて解説します。アグリビジネスについての詳しい解説はこちらの記事をどうぞ。
穀物メジャーの事業・流通の仕組み
穀物メジャーの主な事業内容は以下のようです。
- 農家から作物を買い取る
- 作物を運搬・加工する
- 作物を販売する
- その他
穀物メジャーの事業において一番重要なポイントは、決して自分で作物を栽培しないことです。なぜなら作物の栽培は天候被害、害虫被害、国際価格の変動などによってリスクが大きく、労力の割に利益が少ないからです。穀物メジャーは農家からの作物の買い取りと販売に特化することで安定した利益を得ることができます。また、例えば害虫被害が出た時には、穀物メジャーが農家に農薬を販売することによって、収穫量が減少しても、利益を得ることができます。近年では、製塩やバイオ燃料の製造などにも事業を拡大している穀物メジャーもあります。
五大穀物メジャー(BIG5)
世界には、五大穀物メジャーと呼ばれる企業群があります。
- アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)(米国)売上623億ドル
- カーギル(米国)売上1146億ドル
- ブンゲ(米国)売上1204億ドル
- ルイ・ドレフュス(フランス)売上624億ドル
- グレンコア(スイス)売上2210億ドル
五大穀物メジャーのうち3社はアメリカに拠点があります。過去には、アンドレ・ガーナックやコナグラなどが五大穀物メジャーに含まれていましたが、多くの再編を経て、現在の形になりました。中でも、カーギルとADMは特に規模が大きく、それぞれ業界1位、2位であり、2大体制を築き上げています。グレンコアは鉱山資源の売り上げなども含まれるため、上記のような売り上げになります。
穀物メジャーのABCD
五大穀物メジャーのうち中でも規模の大きい
- アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
- ブンゲ(Bunge)(米国)
- カーギル(Cargill)(米国)
- ルイ・ドレフュス(Louis Dreyfus) (フランス)
は、その頭文字をとって穀物メジャーのABCDと呼ばれることがあります。
日本の穀物メジャー
日本の国土は狭く、穀物の栽培量はアメリカやフランスに比べて少ないですが、日本にも、5大穀物メジャーに次ぐ規模を持つ穀物メジャーがあります。以下のような企業が該当します。
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 住友商事
- 豊田通商
- 双日
- 全農
海外で穀物メジャーがおこなっている事業は日本では商社や全農が行っています。また日本の企業は海外でも事業を行っています。
まとめ
穀物メジャー:穀物に関する様々な事業を行う多国籍企業。
アグリビジネス:農業に関連するありとあらゆる事業のこと。
穀物メジャーの主な事業内容
- 農家から作物を買い取る
- 作物を運搬・加工する
- 作物を販売する
- その他
※穀物メジャーは自分で作物を栽培しません。
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