農業の集約・粗放とは?生産性との関係は?分かりやすく解説

農林水産業

集約的・粗放的とは?

集約的農業・粗放的農業を考えるうえで、まず集約度という言葉を知らなければなりません。集約度とは、ある面積の土地にどのくらいの資本や労働力を投下したかの度合いのことです。例えば、ある面積の土地を多くの人数で耕したり、肥料をたくさん使ったりしている農業は集約的と言えます。逆に、ある面積の土地に従事している農民の数が少なかったり、肥料をあまり使わない農業は粗放的といいます。

集約度には2種類ある

集約度には、投下するものが労働力か資本やによって2種類に分けられます。

集約度2種類

・労働集約度
・資本集約度

労働集約度

労働集約度は、ある面積の土地にどのくらいの労働力をつぎ込んだかを示します。例えば、狭い土地を多くの人数で耕している状態は「労働集約度が高い」と言えます。アジア諸国では機械をあまり使用せず、大人数で耕作するので労働集約度は高くなります。農業の地域区分では、集約的稲作農業(アジア式稲作農業)や集約的畑作農業(アジア式畑作農業)がこれに該当します。

資本集約度

資本集約度は、ある面積の土地にどのくらいお金を費やしたかを示します。例えば、大型機械を導入したり、多くの肥料や農薬を使っている状態は「資本集約度が高い」と言えます。カナダやオーストラリアなどの広大な土地を利用して行われる企業的穀物農業やヨーロッパで発展した混合農業がこれに該当します。

世界の農業の集約度と生産性の比較

生産性には土地生産性と労働生産性の2種類があります。土地生産性は面積当たりの生産量を示し、労働生産性は1人当たりの生産量を示します。世界の国々の土地生産性と労働生産性をグラフに示すと次のようになります。

アジア型の農業は、大人数で耕作する (労働を集約)ことで土地生産性が高い一方、機械をあまり使用しないので労働生産性は低くなります。

新大陸型の農業は大型機械を導入し(資本を集約)大規模耕作を行っているため、労働生産性が高くなります。

ヨーロッパ型の農業は、肥料などを多く使って(資本を集約)、土地生産性が高くなり、また、経営規模がアジアより大きいことで労働生産性もアジアより高くなります。

生産性と集約度の関係

生産性の復習をすると、生産性には土地生産性と労働生産性の2種類がありました。土地生産性は面積当たりの生産量を示し、労働生産性は1人当たりの生産量を示します。

労働を集約すると?

まず、労働を集約することを考えます。1人で耕作している状態Aと3人で耕作している状態Bの生産性を比較すると、労働生産性はそのままで、土地生産性は3倍に増加したことが分かります。

資本を集約すると?

次資本を集約することを考えます。A→Bにおいて、大型機械を導入して1人で3倍の土地を耕し、3倍の生産量を得たとします。この時AとBを比較すると、土地生産性はそのままで、労働生産性が3倍になったことが分かります。

まとめ

まとめ

〇集約度
集約度:土地にどのくらい資本や労働力を投下しているかの度合い
労働集約度:面積当たりの労働力
資本集約度:面積当たりの資本

〇世界の農業の生産性と集約度の比較
アフリカ型 :土地生産性↓労働生産性↓(粗放的)
アジア型 :土地生産性↑労働生産性↓(労働集約的)
新大陸型 :土地生産性↓労働生産性↑(資本集約的)
ヨーロッパ型 :土地生産性↑労働生産性↑(資本集約的)

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