【地理・農業】土地生産性と労働生産性のグラフや理由について分かりやすく解説

農林水産業

この記事では、高校地理の範囲で農業を学ぶ上で重要な生産性という考え方について紹介します。

生産性とは?

農業の前に、生産性とはいったい何でしょうか?生産性は次の式で表すことができます。

もう少しわかりやすく書き換えると、

となります。つまり、「生産するために投下した資源や労力」でどれだけの「生産物」を生み出せるかを示す指標です。では、本題の農業の生産性について考えていきます。

農業の生産性には2種類ある

農業を考える上での生産性は、次の2種類があります。

農業の生産性2種類

①土地生産性:面積当たりの生産量
②労働生産性:1人当たりの生産量

1つずつ見ていきます。

①土地生産性

土地生産性とは面積当たりの生産量のことです。

下のイラストを見てください。

「土地生産性が高い」とは、「狭い土地でも生産量が多い」ということです。多くの労働力を投下したり、お金をかけて肥料や農薬を使ったりすると、狭い土地でも生産量が多くなります。このような労働力や資本を集約した集約的農業は土地生産性が高くなります

②労働生産性

労働生産性とは従事者1人当たりの生産量のことです。

下のイラストを見てください。

「労働生産性が高い」とは、「少人数でも生産量が多い」ということです。機械化や農業の規模を大きくすることで、1人で多くの耕地を耕すことができれば、1人当たりの生産量は多くなります。このようなお金をかけて大規模な生産をする企業的農業は労働生産性が高くなります

農業の生産性の国際比較

農業の生産性には、土地生産性と労働生産性の2種類があることをお話ししました。世界の農業を比較すると、(生産性2種)×(高いか低いか)で4パターンに分けられます。

・土地生産性・労働生産性が共に低いアフリカ型
・土地生産性は高いが労働生産性が低いアジア型
・土地生産性は低いが労働生産性が高い新大陸型
・土地生産性・労働生産性が共に高いヨーロッパ型

土地生産性・労働生産性が共に低いアフリカ型

アフリカや東南アジア、南米で行われている焼畑農業は、自給的であまり手を加えず、土地生産性・労働生産性が共に低くなります。

土地生産性は高いが労働生産性が低いアジア型

アジアの降水量の多い地域(モンスーンアジア)で行われている集約的稲作農業(アジア式稲作農業は) 土地生産性が高くなります。田植えや除草、収穫などに多くの人手を費やし、狭い土地でも生産量が多くなるためです。

土地生産性は低いが労働生産性が高い新大陸型

オーストラリアやカナダなどの新大陸で行われる企業的農業は労働生産性が高くなります。機械化により農業を大規模化することで、少ない人数でも生産量を増やすことができるためです。

土地生産性・労働生産性が共に高いヨーロッパ型

ヨーロッパなどで行われる混合農業は土地生産性・労働生産性がともに高くなります。輪作を行い地力を維持することで土地生産性が高くなることや、規模がアジア型より大きく労働生産性が高くなることが理由です。

以上より、土地生産性と労働生産性を1つのグラフに表すと次のようになります。

生産性が高い農業とは?

農業の生産性には、土地生産性と労働生産性がありました。多くの労働力を投下して、除草などの管理を行う労働集約型の農業は土地生産性が高くなります。また、肥料や農薬などを使用も土地生産性を高めます。ヨーロッパではこれに加え、ビニールハウスを使った施設園芸を行なったり、ICT技術を使用したりして土地生産性が高くなっています。

一方、大型のトラクターなどの機械を使用して、少人数で多くの土地を耕す農業は労働生産性が高くなります。アメリカ合衆国やオーストラリアなどの新大陸で行われる農業がこれに該当します。アメリカ合衆国ではこれに加え、遺伝子組み換え作物の栽培などで労働生産性・土地生産性が共に高くなっています。

まとめ

まとめ

〇農業の生産性2種類
土地生産性:面積当たりの生産量
労働生産性:1人当たりの生産量

〇世界の農業の生産性比較
アフリカ型 :土地生産性↓労働生産性↓
アジア型 :土地生産性↑労働生産性↓
新大陸型 :土地生産性↓労働生産性↑
ヨーロッパ型 :土地生産性↑労働生産性↑

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