モノカルチャー経済とは【問題点は?脱出方法は?自然環境は?】

高校地理

この記事は、モノカルチャー経済について、背景にある歴史、自然環境、良い点、問題点(課題点)、脱出方法などを詳しく説明します。ぜひ最後まで読んでください。

モノカルチャー経済とは?

モノカルチャー経済とは、特定の種類の農林水産物や鉱山資源の輸出に頼る経済の構図のことです。例えば、輸出品目の大半が、銅やダイヤモンド、カカオ豆や天然ゴムなどの状態です。モノカルチャー経済は主に植民地支配されていた国で見られます。具体的には東南アジア、南アジア、アフリカ、ラテンアメリカです。

モノカルチャー経済は、ヨーロッパ諸国が植民地経営の一環として行った、プランテーション農園に起源があります。16世紀から、ヨーロッパ諸国は、海外に植民地を作り始めました。植民地では、自国での栽培が困難だが、需要のある商品作物を作りました。例えば、カカオ豆、コーヒー豆、茶などの嗜好品や、天然ゴム、油やしなどの工芸作物です。また当時、ヨーロッパ諸国は、植民地を自国の工業製品を売るための市場とするために、工業化を行いませんでした。さらに独立を果たした後、国内で紛争やクーデターが頻発し、工業化が進められなかったため工業で外貨を得ることができませんでした。独立後にプランテーション農園の経営は、国有化されたり、分割されたりしました。そこで商品作物が貴重な外貨獲得手段となりました。また、鉱山資源がある国では、鉱山資源も貴重な外貨獲得手段となりました。これが現在まで続き、現在のモノカルチャー経済の要因となっています。

モノカルチャーを英語で表すと、Mono Cultureとなります。Monoとは単一のという意味です。Cultureとは、文化という意味が思い浮かびますが、語源は耕作された土地で、そこから、文化、耕作、栽培、作物と意味が派生していきました。よって、モノカルチャー経済は、単一耕作ともいわれます。

モノカルチャー経済の良い点

モノカルチャー経済は、問題点のほうが圧倒的に多いですが、少なからず良い点もあります。例えば、効率の良さです。単一の農作物を育てているため技術開発も単一のものでよく、さらに大規模化規格化をすることで、効率よく生産することができます。また、先進国の商品作物を仕入れる企業の視点からは、規格がそろったものを安く買い叩くことができるというメリットがあります。特定のものしか作っていないので、農家は買い取る企業の言いなりになるしかなく、結果、安く買い叩くことができるのです。

モノカルチャー経済の問題点

モノカルチャー経済は多くの問題を抱えています。

  1. 経済の不安定さです。これには2つ理由があります。1つ目は、輸出する特定の農作物が、洪水、干ばつ、寒冷化などの悪天候や、病害虫の影響で、不作になってしまうことです。近年では、バッタが大量発生し農作物を食べつくすことが問題になっています。2つ目は、輸出する特定の農作物の価格の変動です。農作物の国際価格が下落することで、国家の収入が減少します。
  2. モノカルチャー経済は、環境破壊をもたらします。プランテーション農園は主に熱帯や亜熱帯地域にありますが、その畑を作るために、森林伐採することで、保水力が低下したり、土壌流出が起きたりします。また、特定の作物を作り続けるので、連作障害が起き地力の低下を引き起こします。さらに、灌漑を行って農業をしている場合は、河川の断水や塩害を引き起こします。ソ連は、現在のトルクメニスタン、カザフスタンでアムダリア川、シルダリア川を水源として灌漑農業をし、綿花を生産しました。その結果、2つの川が流れ込んでいたアラル海という湖が縮小しました。
  3. プランテーション農園での生産体制の均一化で、伝統的な農法などの文化が失われます。
  4. 土地を切り開き、特定の作物を栽培することで、その土地の生態系を脅かし、生物多様性を失います。
  5. 外貨獲得のために、輸出する商品作物を自国の農地で栽培しているため、自国民が食べる高作物を育てることができず、自給率が低下します。自国民の食料を輸入するために、さらに商品作物を作らなければならず、モノカルチャー経済から抜け出せなくなります。
  6. 商品作物を作るために子供を働かせなければならず、農業の効率が悪化するとともに、新しい産業を開拓するための人材を育成できず、モノカルチャー経済から抜け出せなくなります。
  7. 特定の商品作物しか作っていないため、企業に安く買い叩かれ貧困から抜け出せなくなります。

モノカルチャー経済からの脱出方法(改善策)

抜け出すことが困難なモノカルチャー経済ですが、脱出方法はあります。また実際に脱出した例もあります。いくつかの脱出方法がありますが、それらに共通していることは、貿易収支を黒字にして外貨の支出を減らしたことです。例えば、モノカルチャー経済で低下した食料自給率を上げることで、食料の輸入量を減らし、外貨の支出を減らすことができます。そして余った外貨を工業化のために用いることができます。また外国の資本を受け入れや借金をすることによってモノカルチャー経済を脱出し、工業化することも可能です。しかし、この方法では対外債務の増加を招き、債務不履行に陥る可能性があります。

特殊な例として、国内で鉱山資源が見つかったことで特定の単一農作物の輸出から脱却できることがあります。しかし、この方法は経済の改善の効果が少ないことがあります。なぜなら、鉱山資源の開発は外国資本に依存することになり、現地の人の所得向上に乏しく、労働条件が厳しいことが多いからです。それどころか鉱山資源の発見は新たな紛争の火種となる可能性があります。

ブラジルのモノカルチャー経済脱出方法

ブラジルはモノカルチャー経済から脱却したもっとも有名な国の1つです。以前は、玄武岩と輝緑岩が風化したテラローシャという水はけのよい肥沃な土壌と、高原の冷涼な気候を生かしてコーヒー豆の栽培がおこなわれ、それが主要な輸出品目でした。コーヒー豆が栽培されるプランテーション農園は、ファゼンダと呼ばれる大土地所有制由来するものです。

しかし、ブラジルはコーヒー豆のモノカルチャー経済からの脱却を図りました。まず初めに、現地の都市向けの農作物を生産し始めました。さらに、1960年代~1970年代には輸入代替型の工業政策を進め、中でもそれまで輸入に頼ってきた重工業の発展を遂げました。これはブラジルの奇跡と呼ばれています。また近年では、アメリカ式の企業的農業経営で大豆を栽培し、輸出しています。こうした中で、1960年代では輸出品目の60%近くを占めていたコーヒー豆の割合が、近年では2%台まで減少しました。

東南アジアのモノカルチャー経済脱出方法

東南アジアは植民地時代、プランテーション農園でマニラ麻や天然ゴムの栽培がおこなわれていました。しかしこれらの商品作物は化学繊維や合成ゴムの登場により輸出が減少していきました。こうした中、これらに変わって、熱帯地域では、バナナや油やしの栽培、乾季があるジャワ島東部やベトナムではコーヒー豆やサトウキビの栽培が始まりました。ちなみに油やしは19世紀半ばの当時、機械用潤滑油やせっけんに利用されていました。植民地支配が終わると、プランテーション農園は国有化や、企業による経営に移っていきました。

東南アジアのモノカルチャー経済からの脱却方法もブラジルと同じく、輸入代替型の工業化です。それまで輸入に頼ってきた製品を国内の工場で生産し始めました。さらに東南アジアでは工業化が進み、今では輸出指向型工業にシフトしています。輸出指向型工業とは、発展途上国が外国の企業の工場を誘致して、輸出用製品を生産する工業のことです。さらにシンガポールは物流の大動脈であるマラッカ海峡の近くという立地条件を生かして、中継貿易を行っています。

ガーナのモノカルチャー経済脱出方法

ガーナといえば、チョコレートの原料のカカオ豆です。ガーナはどのようにしてモノカルチャー経済から脱出したのでしょうか。歴史を振り返りながら見ていきましょう。

ガーナはイギリス植民地時代、カカオ豆や金の輸出で外貨を獲得していました。その後宗主国イギリスからの独立を果たしますが、主要輸出品目であるカカオ豆や金の国際価格が不安定であることや、社会主義政権の台頭やクーデターなどによって経済は低迷しました。しかし1965年に、ヴォルタ川をせき止めてアコソンボダムを建設し、水力発電を行うことで、電力が安価に手に入り、電力指向型工業のアルミニウム精錬がおこなわれ、工業化しました。

また、今まで加工せずに輸出していたカカオ豆の加工を国内工場で行うことで、より高付加価値になり、外貨を獲得できるようになりました。さらに、2007年、沖合で油田が発見されたことで、石油も主要輸出品目となり、GDPを押し上げました。近年では、欧州企業の工場が誘致され、輸出指向型工業がおこなわれています。

こうした中、輸出品目に占めるカカオ豆の割合は、低下を続け、今の輸出品目は、

1位:金

2位:原油

3位:カカオ豆

となっています。

豆知識

東南アジアや南米が大規模プランテーション農園で商品作物の栽培をしていたことに対して、ガーナは、貧しい農家が小規模で栽培していました。

アラブ首長国連邦のモノカルチャー経済脱出方法

1960年代の石油産出以降、輸出品目の多くを石油製品に頼ってきたアラブ首長国連邦ですが、近年は、石油のモノカルチャー経済からの脱却が図られています。まず、国内でとれる豊富な化石燃料を用いて発電をすることで、安価な電力が得られ電力指向型のアルミニウム工業が発展しました。また、原油からエチレンなどの石油製品に加工することで付加価値を高め外貨を獲得しました。さらに、自由貿易地域を設け、中東の物流拠点を作ったり、規制緩和により金融センターとしても発展しています。

モノカルチャー経済の例

ケニア:茶、切り花

エチオピア:コーヒー豆

ギニア:金

コートジボワール:カカオ豆

ザンビア:銅

タンザニア:金

ナイジェリア:石油

ナビビア:ダイヤモンド

ボツワナ:ダイヤモンド

マダガスカル:バニラビーンズ

ロシア:原油

ジャマイカ:アルミナ

ウルグアイ:牛肉

エクアドル:原油、バナナ

コロンビア:原油、コーヒー豆、切り花

チリ:銅鉱、銅

ボリビア:天然ガス、亜鉛

バヌアツ:ココナッツ油

パプアニューギニア:白金、パーム油

コメント

タイトルとURLをコピーしました