アグリビジネスとは
アグリビジネスとは、生産、加工、販売などの農業にかかわるすべての産業のことをさします。アグリビジネスは、農業(アグリカルチャーagriculture)とビジネス(business)を組み合わせた造語です。したがって、アグリビジネスは大企業から零細企業まで様々な企業が参画しています。
アグリビジネスの構造
上の図は、アグリビジネスの構造を表したものです。
資材
まず、農産物、畜産物を生産するためには、植物の種や肥料が欠かせません。資材の部門では、農機の製造、種子の製造、農薬の製造、肥料の製造などが含まれます。
企業一覧
日本:クボタ(農機)、ヤンマー(農機)、サカタのタネ(種子)、住友化学(農薬)
海外:米‐ディア・アンド・カンパニー(農機)、独‐バイエル(種子
生産
次に、生産です。日本では、多くの場合、個人の農家がこの部門を担っています。しかし、アメリカやオーストラリアなどの広大な土地を持つ国では、企業的農業により、企業が運営する農場もあります。野菜、穀物だけでなく、畜産や綿花・キノコの栽培などもアグリビジネスに含まれます。
企業一覧
日本:農家、イオンアグリ創造、ホクト
海外:農家、米‐ドール・フード・カンパニー
加工
生産された農産物は、そのまま市場に出回るか、加工してから市場に出回ります。この部門には、ハムやソーセージを作る食肉加工、小麦粉やトウモロコシ粉を作る製粉業、植物から油を搾り、オリーブオイルなどを作る搾油業などがあります。搾油業は食用の油だけではなく、洗剤に用いられるパーム油も製造しています。蚕や綿花から糸を作る製糸業もこの部門に含まれます。近年では、バイオエタノールなどの植物由来の燃料のへの加工やそれを利用した発電も行われています。
企業一覧
日本:日本ハム、日清製粉、アサヒビール、キッコーマン
海外:スイス‐ネスレ、米‐カーギル、ベルギー‐アンハイザーブッシュ・インベブ
流通
加工された商品は、最終消費地まで運ばれなければなりません。流通は、商品の輸送と保管を担う部門です。例えば日本がアメリカから小麦を輸入するとします。小麦は、アメリカの農地からトラックで近くのカントリーエレベーターという貯蔵庫にトラックで運ばれます。カントリーエレベーターに集まった小麦は輸出カントリーエレベーターより大きなポートエレベーターという貯蔵庫まで鉄道で運ばれます。ポートエレベーターに集まった小麦は船舶で日本まで運ばれます。日本についた小麦は、そこからいくつかの物流センターを経て、スーパーやレストランへと運ばれます。これらにかかわるすべての産業もアグリビジネスです。
企業一覧
日本:丸紅、商船三井、三菱倉庫
海外:米‐カーギル、米‐ADM、米‐BNSF鉄道
販売
生産された農産物は、加工流通を経て販売されます。販売の方法としては、小売店や飲食店、綿花についてはアパレルショップなどがあげられます。消費者に届くまでの卸売業者などもあります。
企業一覧
日本:丸紅、伊藤忠商事
海外:米‐カーギル、米‐ADM、米‐ブンゲ、仏‐ルイ・ドレフュス
農業の6次化(6次産業化)とは
アグリビジネスの構造の図において②の生産の部門は天候にも左右され、利益を得にくい構造になっています。そこで農業の6次化というものがあります。農業の6次化とは②の生産者が、③の加工や⑤の販売をすることによってより高い付加価値をつけようとするものです。6次化の6という数字は生産、加工、販売がそれぞれ第1次産業、第2次産業、第3次産業ですから、1×2×3=6を表しています。
まとめ
アグリビジネスとは、生産、加工、販売などの農業にかかわるすべての産業のこと
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