世界の三大穀物とは?生産国・貿易国などを解説

農林水産業

三大穀物とは

米、小麦、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ、、、、私たちは普段穀物を食べることで炭水化物を得ています。穀物の中でもとりわけ生産量の多い

  • 小麦
  • トウモロコシ

は三大穀物と称されます。

この記事では三大穀物の栽培地、貿易国や特徴などについて解説します。

三大穀物の生産国・輸出国・輸入国ランキング

コメの生産国・輸出国・輸入国ランキング

コメの生産国ランキング

コメの生産国ランキング

順位国名生産量(万トン)参考(人口ランキング)
1中国209611
2インド177642
3インドネシア54604
4バングラデシュ54588
5ベトナム434415
6タイ283520
7ミャンマー262726
8フィリピン188113
9パキスタン11115
10カンボジア108870
 日本105211

米は高温多湿が適しているので主にモンスーンアジアで栽培されています。米は自給的な側面が強く、作った作物を自分たちで食べるため、人口が多い程必要なコメの量も多くなります。よって、コメの生産国上位には人口の多い国が多くなっています。

米輸出国ランキング

順位国名万トン
1タイ987
2インド987
3ベトナム521
4パキスタン395
5アメリカ332
6ウルグアイ90
7イタリア65

コメの生産量に占める輸出量の割合が約5%と少なく、貿易量が少なくなっています。生産量1位の中国は国内で大部分を消費するため輸出国には入っていません。

米輸入国ランキング

順位国名万トン
1中国352
2ベナン146
3コートジボワール128
4インドネシア128
5サウジアラビア124
6アラブ首長国連邦121
7イラン106

小麦の生産国・輸出国・輸入国ランキング

小麦の生産国ランキング

小麦生産国ランキング

順位国名生産量(万トン)
1中国13359
2インド10359
3ロシア7445
4アメリカ合衆国5225
5フランス4060
6カナダ3234
7ウクライナ2837
8パキスタン2434
9ドイツ2306
10アルゼンチン1946
 日本103

小麦は比較的全世界で栽培できるため、国土が広い国ほど生産量が高くなる傾向があります。

小麦輸出国ランキング

順位国名万トン
1ロシア2533
2アメリカ合衆国2403
3カナダ1970
4フランス1835
5オーストラリア1615
6ウクライナ1170
7アルゼンチン1027

小麦は生産量に占める輸出量が約20%と多く貿易量は米よりも多くなっています。国土が広く、人口密度の低い国で輸出量が多くなっています。

小麦輸入国ランキング

順位国名万トン
1インドネシア1053
2エジプト873
3アルジェリア823
4イタリア765
5スペイン703
6ブラジル687
7モロッコ629

トウモロコシの生産国・輸出国・輸入国ランキング

トウモロコシ生産国ランキング

順位国名生産量(万トン)
1アメリカ合衆国37096
2中国25907
3ブラジル9772
4アルゼンチン4948
5インド2872
6インドネシア2795
7メキシコ2776
8ウクライナ2497
9南アフリカ1682
10ルーマニア1433
 日本19

トウモロコシは粗放的に栽培されます。アメリカと中国だけで世界生産量の約半数を占めます。

トウモロコシ輸出国ランキング

順位国名万トン
1アメリカ合衆国5599
2アルゼンチン2450
3ブラジル2187
4ウクライナ1101
5フランス544

トウモロコシ輸入国ランキング

順位国名万トン
1日本1534
2メキシコ1411
3韓国979
4ベトナム809
5スペイン602

トウモロコシの輸入量1位は日本です。日本は主に家畜の飼料用に用いられます。トルティーヤで有名なメキシコ料理はトウモロコシを多く使います。よって輸入量2位のメキシコでは食用に用いられます。

三大穀物の農業立地条件と特徴

三大穀物はそれぞれ異なる地域で生産されていることがわかりました。これには

  • 気候
  • 土壌

の2つの条件が関係しています。

気候

米:高温多雨

小麦:冷涼少雨

トウモロコシ:多雨

上記の通り、米は高温多雨の地域で栽培されます。生育期には気温18℃以上、年降水量1000㎜以上が必要です。よって、ケッペンの気候区分でいうと、Af, Am, Awなどのすべての熱帯や、Cfa温暖湿潤気候、Cw温暖冬期少雨気候などで栽培されています。中でも高温多雨な地域では1年で2回収穫する2期作、1年で3回収穫する3期作も可能です。

次に小麦です。小麦は冷涼で少し乾燥した地域で栽培されています。生育期には気温14℃以上、年降水量は500㎜~750㎜が適しています。小麦栽培は降水量が米の半分程度で可能です。このことから、小麦は熱帯、寒帯、高地を除くほぼ全世界で広く栽培されています。

最後にトウモロコシについて見ていきます。トウモロコシは多雨な地域で栽培されています。トウモロコシの栽培には年降水量1000㎜以上が必要です。この中で夏季に高温となる地域では食用に、夏季に低温の地域では茎を家畜の飼料用として栽培されています。

土壌

米:肥沃な沖積土

小麦:半乾燥の肥沃な土壌(黒色土)

トウモロコシ:腐食に富んだ土(褐色森林土)

米は肥沃な沖積土で栽培されています。沖積土とは河川の氾濫などで土砂が堆積してできた土壌のことです。また、米は水を引いて栽培するため、平野部では低平な地形、山岳部では棚田が必要です。低平な沖積土は三角州(デルタ)で見られます。よって米は三角州で多く栽培されています。具体的には長江、メコン川、ガンジス川の河口の三角州で生産量が多くなっています。

小麦は米に比べて乾燥した土壌である黒色土が適しています。ウクライナから西シベリアにかけて分布する黒色土はとくにチェルノーゼムと呼ばれ、ヨーロッパの穀倉地帯として多くの小麦を生産しています。また、北アメリカのプレーリー土も小麦の栽培に適しています。

トウモロコシは褐色森林土が適しています。アメリカ中西部はコーンベルトと呼ばれ、トウモロコシが多く栽培されています。

原産地

米:インド~中国

小麦:イラン付近

トウモロコシ:メキシコ

利用用途

米:自給的穀物

小麦:商業的穀物

トウモロコシ:食用のほか、家畜の飼料、バイオエタノールに使用

米は自給的穀物といわれています。自給的穀物とは、穀物を売るために作るのではなく、自分たちで食べるために作るというものです。このため、米は地産地消の傾向が強く、米の生産量に占める輸出量は約5%と少なくなっています。

これに対し、小麦は商業的穀物です。南北アメリカやロシア、オーストラリアなどで企業が機械によって大規模栽培し、収穫量の約20%が輸出されるためです。

トウモロコシは主に、発展途上国では食用に、先進国では家畜の飼料用に利用されます。遺伝子組み換えをすることにより、生産量が向上しています。近年では、トウモロコシはバイオエタノールとしても用いられています。バイオエタノールとは、生物由来の資源から生成されたエタノールのことで、バイオマスエネルギーの一種です。植物が吸収する二酸化炭素の量と、バイオエタノールを燃焼したときに発生する二酸化炭素の量が同じになるカーボンニュートラルという考えのもと、食用、飼料用のトウモロコシをバイオエタノールに転換する動きがみられます。これは二酸化炭素の排出を抑えるという点で注目されていますが、作物がエネルギーに転用されることで食料価格に影響を及ぼすという課題があります。

特徴

米:灌漑により乾燥地域で栽培可能、単位面積当たりの収穫量が多い

小麦:単位面積当たりの収穫量が少ない

トウモロコシ:少ない労働力で栽培可能(粗放的農業)

米の栽培における気候条件は高温多湿でした。しかし、灌漑をすることで乾燥した地域でも栽培が可能になります。例えば、エジプトではナイル川の水を灌漑に用いることで、コメの生産を可能にしています。また、米は単位面積当たりの収穫量が多いことが特徴です(小麦の約1.4倍)。少ない土地で多くの食料が得ることができますから、稲作をしている地域では人口密度が高くなっています。稲作が盛んな東アジア、東南アジア、南アジアなどのモンスーンアジアでは人口が集中しています。

これに対し、小麦は単位面積当たりの収穫量が少ないです。土地があっても多くの食料を得ることができないため、人口密度は少なくなります。また、小麦は栽培する時期により、春小麦と冬小麦に分けられます。春小麦は冬に作物を栽培できない高緯度地域で、冬小麦は低緯度地域で夏に別の作物が栽培されます。小麦は寒帯、熱帯、高地などを除く世界中で栽培されています。このことで、小麦は1年を通してどこかで収穫されています。

トウモロコシは粗放的農業で栽培されています。粗放的農業とは農地に資本や労働力を多く投入しない農業のことです。

四大穀物とは?

三大穀物という呼び方のほかにも四大穀物という呼ばれ方もあります。

四大穀物

米、小麦、トウモロコシ、大豆

大豆は三大穀物と比べてやせた土地でも栽培できることが特徴です。食用のほかに家畜の飼料にも使われています。近年中国では家畜の飼料用の需要が高まり主な南米から世界の過半数を輸入しています。

まとめ

 小麦トウモロコシ
地域モンスーンアジア世界中アメリカと中国
気候高温多雨冷涼少雨多雨
土壌肥沃な沖積土黒色土褐色森林土
利用用途自給的商業的食用のほか、飼料、バイオエタノール
特徴単位面積当たりの収穫量が多い単位面積当たりの収穫量が少ない粗放的農業

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