貿易摩擦とは?【小中学生にもわかるように簡単に解説】

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管理人
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現在、米中貿易摩擦や、日米貿易摩擦など何かと貿易摩擦という言葉を耳にすることが多いと思います。歴史を振り返ると、貿易摩擦が原因で戦争が起きたこともあります。この記事では、貿易摩擦の原因、歴史、対策、影響を解説します。

貿易摩擦とは?

貿易摩擦とは、2か国間で貿易することで生じる、国家間の利害関係の問題のことです。

貿易摩擦の原因と対策をもっと詳しく解説

特に先進国同士の貿易だと、貿易する商品の競合が発生します。日本とアメリカの例を見てみましょう。まず、アメリカ視線で考えます。アメリカは日本から多くの自動車を輸出しています。しかし、自動車はアメリカ国内でも生産されています。ここで、日本から自動車を買いすぎると、アメリカ国内で生産された自動車が売れなくなってしまいます。アメリカ車が売れなくなると、それを作っていた工場が閉鎖され、失業者が増えることなど、社会全体に大きな影響を与えます。次に日本視線で考えます。スーパーに並ぶ農作物は、国産のものより、アメリカ産のもののほうが安いことが多いです。消費者は、安い商品を買うので、このままアメリカと貿易をし続けると、アメリカ産の農作物ばかり売れてしまい、日本の農作物が売れずに、日本の農家がダメージを受けます。

このように貿易をすることで生じる国家間の利害関係の問題を貿易摩擦といいます。

貿易摩擦を解決するための主な対策は以下の通りです。

  1. 国内製品と競合する外国からの製品に関税をかける
  2. 貿易黒字の国が、貿易赤字の国に工場を移し、現地で生産をする
  3. 貿易黒字の国が、自主的に輸出量を制限する
  4. 国際機関に解決を頼む
  5. 為替レートを変える

例えば、1970年代以降、日本とアメリカの間で起きた、日米貿易摩擦の悪化は、日本の自主的な輸出制限によって鎮静化しました。

貿易摩擦の歴史と解決策【GATT,WTO】

現代の農作物、工業製品の貿易の歴史は、18世紀末のイギリスにさかのぼることができます。当時、イギリスでは、産業革命が起き、工業生産額が飛躍的に伸び、世界の向上といわれるまでになりました。のちに、産業革命の波は、ほかのヨーロッパ諸国や、アメリカ、日本にも伝わり、世界規模での、農作物、工業製品の貿易が始まりました。そうした中で、1929年、世界恐慌が起こりました。世界恐慌によって経済が悪化した欧米諸国や日本は、自国の産業と雇用を守るため、自国と自国の植民地を囲い込んで、それ以外からの輸入品には高い関税や、輸入制限をかけました。これをブロック経済といいます。またこのような体制を保護貿易といいます。アメリカは中南米諸国とともにドルブロック、フランスはベルギー、オランダや西アフリカなどとともに、フランブロック、イギリスは、インドなどの植民地とポンドブロックを形成しました。しかし、日本やドイツは、植民地が少なく、十分なブロックを築けず、これが第二次世界大戦を引き起こす一つの要因となりました。この反省から、1947年に貿易の自由化を目指すために、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)が発足しました。GATTとは、貿易相手国と互いに関税を引き下げや輸入制限の廃止などを行い、通商の自由化を目的とするものです。GATT体制の下で、関税が大幅に引き下がり、貿易が拡大しました。そうした中、日本やドイツは急速な戦後復興を遂げ、アメリカの優位性を脅かしました。これにより、アメリカは、自国の産業と雇用を守るため、次第に保護貿易にシフトしていきました。

1995年には、GATTに変わり、WTO(世界貿易機関)が設立されました。GATTが紛争処理の強制力が弱く、紛争処理の対象がモノの貿易だけだったことに比べ、WHOは、紛争処理の強制力が強く、対象が、モノの貿易だけでなく、サービス貿易や、知的財産権にも拡大しました。また、WHOは、GATTに加盟していなかった、中国などの社会主義国も加わるようになり、現在では、ほとんどの国が加盟しています。しかし、自由貿易が加速し、安価な商品が輸入されると、国内の産業に影響が出てしまうことがあります。WTOは、特定の商品の貿易に関する協定の作成や、アンチ・ダンピング(国内価格よりも安い輸入製品に関税を課す)や、セーフガード(緊急輸入制限)などを認めています。

日米貿易摩擦

日本が急速な経済成長をする中で、1970年代以降、アメリカ合衆国との間で、鉄鋼、自動車、半導体などのせい人において、貿易摩擦が発生しました。日本の安い輸入品がアメリカ合衆国国内に出回ることによって、アメリカ合衆国の対日貿易赤字は膨らみ、アメリカ合衆国国内の工場の閉鎖による失業者の増加などを引き起こしました。こうした中でアメリカ合衆国は、日本に自主的に輸出規制をするよう圧力をかけました。これにより、日本企業はアメリカ合衆国で販売される製品をアメリカ合衆国の工場で作る現地生産を始めました。また1973年には、1ドル=360円とするドル円固定相場が、変動相場制に移行しました。これにより、円高が進行したことで、日本の輸出競争力が弱まり、経済成長は鈍化しました。

米中貿易摩擦

中国の急速な経済成長を背景に、アメリカ合衆国の対中国貿易赤字は、膨らみ続けました。現在、アメリカ合衆国の貿易赤字の3分の1を中国が占め、その金額は、4000億ドル以上となっています。こうした中、2018年に当時のトランプ大統領は、中国に対して鉄鋼などの関税の引き上げを宣言しました。これに対して中国は、報復措置として、アメリカからの大豆などの輸入品の関税の引き上げを行いました。こうした対立が続き、現在では、アメリカ合衆国が中国から輸入する製品の大半、中国がアメリカから輸入する製品の約70%に関税が上乗せされました。

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